日本古来の漢方や中医学とも違う、新しい漢方ともいうべき「井上流漢方」について説明します。患者さんの気の流れをみて気を整えることを第一義とする「井上流漢方」を名古屋の井上先生の外来から報告します。
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11月××日外来

20代女性、初診。
生理不順が主訴で来院。
痩せてもおらず、ポチャとした若い女性。
今時の若い娘らしくお洒落な洋服でマニキュア、ネックレスもしている。
足は薄いストッキングではたから見ると寒そう。
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「丈夫そうなお体しているよね、夜は何時に寝ているの?」
  「12時とか、1時とか」
「手はかさかさする?」
  「少し、乾燥します」
「はい、寝てくれる」と、腹診のために横になってもらう。
腹診では腹には瘀血ははっきりしませんでした。井上先生は脈を診ながら、虚脈を感じられたのか、「ぐっすり寝ている?」と聞きます。
  「それよか、寝つきのほうがなかなか...」と、患者さんが答えます。
舌を出してもらうと剥離がすこしと粘りがある。両手の全部の爪に赤と金色の派手なマニキュアがされているのを見て、「きれいにして見えるけど、体に悪いよね、これってね」井上先生がおっしゃいます。

「脈が虚だから疲れがたまっているような気がするけど、おなかには瘀血はあまりないのね。そんなにたいした事ないんだけど、虚労の建中湯が基本なんですけど、人参養栄湯とかでもいいかもしれん。」とサントに説明してくれました。

ここでコトダマ診断をしました。
「ちょっと体に聞くでね。私たちの体は肉体だけの存在じゃないので薬の名前を聞くだけで、体の流れが変わってくるでね。今から実験するよ、目つぶっとってね。」と、いつもの前置きをしてから、
「標準的には、帰耆建中湯を飲みました...これでも背中ちょっと暖かくなるわね。それか、いっそう、人参養栄湯を飲んだ...この方が目が楽になるね。それとか、十全大補湯を飲みました...これでもいいか..こっちのほうがいいか。十全大補湯にしようかな。」十全大補湯が気の流れがもっともいいようです。
「今から外で飲ませてあげるからね、48番。後からどうなったか教えてね。」
患者さんにはそのまま十全大補湯を飲んでもらって、10分後に反応を確認します。

飲んでもらう前に、井上先生は爪の派手なマニキュアが気になっていたようで、
「それから、綺麗にしてるけどね、爪って肺なのね、肺呼吸が悪くなるって言われているよ。あんまりこんなんせんほうがいいよ。」と、患者さんに言われます。
  患者さんは、わけがわからず「ふーん」と言います。
「なにもせんでも可愛いし、シンプルにしとったほうが体にいいよ。今、体調不良があるときはなるべくいろんなものを付けんほうがいいよ」そして、「よかったらそれ取ってみ」と金色のネックレスを外させました。
サントも見学していて、患者さんのネックレスからいやな気を感じていたので納得です。

「こんなちょっとのことで体変わるでね」
外させてすぐに「そやね、わかる、今どうなった?」
患者さんは、きょとんとしています。
「背中が暖かくなったのがわかる?ちょっとスッとしてきたね」と、井上先生。
わかったのか、わからないのか「はい」と患者さん。

「元気なときはなにやってもいいけど、体調が悪いときは何も付けたらあかんよ。爪もやらんほうがいいよ。体にわるいでね。」
「そうですか、はい」と、なんだか患者さんは納得してきたようです。

井上先生は足首の三陰交あたりを示しながら「それと、なるべくね、ここ女の人の子宮卵巣と言われているので、下半身を冷やさんようにね。本当はズボンはいたほうが生理落ち着くと思うよ。」と言われました。
「はい」と患者さん。
「がんばろうね、ちょっとがんばれば、体力あるでね治るよ」と、井上先生。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
十全大補湯を1包飲んでもらって10分後、気のバランスがよくなっていたので、十全大補湯を2週間処方されました。


井上先生のコメント
「ネックレス外すと、だいぶ背中の流れよくなったね、ほんのちょっとのことで変わるのにね」「外せとは、言いにくいけどね」

サントが患者さんが付けているネックレスを見た瞬間いやな気を感じたことを井上先生に告げると「そやね、私もアレッ-と思っていた」と言っていただきました。
このあたりは、井上先生の感覚とサントの感覚が一致すると、勉強する励みになるのです。

生活指導と一口にいっても、食事だけでなく、身に付けるものにたいする指導も必要になる場合があります。これは、気の流れがわかる井上流漢方だからできることだとサントは思っています。

サントの外来には頭痛、肩こり、耳鳴の患者さんがたくさん来ます。特に、左の薬指に指輪を10年以上付けっぱなしの方は、指輪が悪さをしていることをしばしば経験します。
薬指の流れが悪くなると三焦経の流れが阻害されるので肩、耳、頭を直撃します。
そのような患者さんには、少なくとも家に帰ったら指輪を外してね、と言っています。
世間にもっと知っていただくために、症例が集まれば学会で発表したいと思っています。

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【2012/11/30 22:55】 | 症例
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11月××日外来

20代女性。
やや大柄の女性、マスクをして顔が少しむくんでいる。
10月下旬から咳が出てとまらないという。
別の内科でレントゲンを撮っても異常なかったそうです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「咳ってどういう咳?どんな感じ?」
  「1回で出だすととまらなくなる」
「どこから出る?ここから出るか、ここから出るか?」井上先生は自分の喉と胸を示して場所を聞いています。患者さんが咳をしたので「今、咳でたよね。ここからと違う?」喉のあたりを指されます。
  「そうですね」
「何で咳が出るようになった?」
  「一応、風邪だと診断されていて、お薬も飲んでいるんですが」と、患者さん。

「じゃあ休んでくださる」と、腹診のために横になってもらいます。「夜は何時に寝ているの?」
  「1時ぐらいかな」
「なんで。咳出ているのに、はよ寝ないとね、ね、そやろ」
  「いろいろすることがあるので、仕事とか遅くなると、それやってから寝ると..」

井上先生は腹診をしながら「おなかガス満やね。熱ないしね、元気そうやし、わりあい食べれちゃうよね。」
  「そうですね」と、患者さん。
舌を出してもらうと、舌には粘りが有る。「ちょっとおきてくれる」と、座らせて頚と肩を見ます。「喉がおかしいんやね、やっぱり首肩、凝っているね」

「強い咳止めは飲んどるので、今飲んでいる咳止めのほうが効くにきまっとる。漢方は体をよくすることによってだんだん咳がとまってくる薬なんで、もし漢方を飲みたいなら、まず早く寝ることやね。それ約束だよ。あと、夕ご飯食べたらなにも口の中に物いれんようにしよう」
  「のど飴は?」
「のど飴ばかり食べていると、カロリー過多になるよ。のど飴に相当する漢方を今から出すからね」と、やさしく説明されます。

診断のためにいつものコトダマ診断をしました。
「ちょっと目をつぶっていてくれる。私たちの体は肉体だけの存在ではないので、薬の名前を聞くだけで体が変化するでね」と、いつもの前置きを言った後に「ちょっと、言葉で言うでね、教えてね。茯苓飲合半夏厚朴湯を飲みました...飲んだらどうなるとだけ思えばいいんだよ。それかね、当帰湯をのみました...こっちかな、背中のここの流れがよくなるものね」
厚朴が入った処方のなかでは当帰湯が気の流れがいいようです。
「当帰湯、真武湯、当帰湯で1週間出すからね。なるべく、果物とか生野菜とかヨーグルトとかジュースとか飲みすぎんようにね。」
「まず、風邪をなおさんといかんね」
「今から食べ物のことの注意をお話しするよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
当帰湯を主に出されて、冷えを取る真武湯を従で出されました。
そのあと、隣の部屋で看護師さんに生活指導をしてもらいました。

井上先生のコメント
「おなかがガス満なので厚朴シリーズで行けばいいのよ。」
「あれは鼻水が後ろにおりているのかもしれんね」

空咳によく使う麦門冬湯はどうかと、サントが質問すると、
「麦門冬のように胸に燥熱があるわけでない、顔がすこしむくんで食べ過ぎて元気な子なのでこれは厚朴が入った方剤だよ」と答えてくれました。

厚朴シリーズは「腹のガス満」、麦門冬シリーズは「喉の燥熱」がポイントです。

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【2012/11/29 23:47】 | 症例
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11月××日外来

20歳代男性
アトピーで通院している。
長身で痩せ型の方、アトピーはそれほど目立たない。
虚労があるので小建中湯で開始して、
最近はひえと過敏性があったので真武湯と甘麦大棗湯を処方している。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どうですか?アトピーはどうですか?」と、井上先生。
  「よくなっているような気がするんですが。目が痒いけど、くしゃみと鼻水はいいです」と、患者さん。
「寝つきはどうですか?」と、尋ねると
  「あまりよくないですね」と返事をされる。
腹診のために「休んでくれる」と、横になってもらう。「小建中湯をこのまえ甘麦大棗湯と真武湯にしたんだよね。生活リズム整えている?早く寝ようとしている?」
  「時間は、12時ぐらいですね。寝ようとしているんですけど、あんまり寝れなくて」

井上先生は腹診しながら「そうやね、腹は前よりいいね。手は火照っているよね、どちらかというと」
次に「背中見せてくれる」と、座らせて首と背中を触診されました。「かなり首肩凝っているよね。ここが少しずれとる感じするかな、身柱のあたりが」とサントに説明してくれる。触らせてもらうと確かに背骨が右のほうにすこしずれている。
「それと肝腎のここが膨らんじゃっているので、」ちょうど右の肝臓の裏辺りを撫でながら、「だから、だいぶ背中の流れが悪いので、ここがずれとるので、だから心肺を補わないと無理なので、この前は甘麦大棗湯と真武湯にしたけど...ちょっと目つぶっといてくれる..」

と、ここでコトダマ診断をされました。
「もう一つニッキが入った処方で..体に聞くよ、人参養栄湯を飲みました...養栄湯を飲むと背中が楽になるね。口のネバネバが取れてくれば正解かな...前のお薬は真武湯と甘麦大棗湯だけど...やっぱり人参養栄湯にしたほうが気が下がるし、背中があったかくなるし、口の粘つきが取れるので、、今日から体の芯の疲れをとって眠りやすくしてアトピーもよくするという薬をだしとくでね」
今回は人参養栄湯のほうが気の流れはいいようでした。
「生活がんばろうね、ちょっとのことで体変わるでね」
  「はい」
「お大事に」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
処方は人参養栄湯を主にして、真武湯を少し頓服的に出されました。

井上先生のコメント
「身柱のとこがずれているので心肺の流れが悪いのよ」
「あそこの流れがわるくて、気の流れがストップすると、裏寒に陥りやすいよね」
「今は首肩凝っていて、手の火照りもあるし、気をめぐらせたいのね、身柱のあたりの流れが悪いので人参養栄湯にしました」
「裏寒も少しあるので真武湯をすこし足しました」

風邪のときもあそこが冷えませんか、というサントの質問に対して
「そうそう、あそこが冷えてれば、大体、裏寒と思えばいいのよ」と、教えてくれました。

ちなみに、裏寒のときに井上先生のよく使う方剤は「真武湯」「茯苓四逆湯」「四逆加人参湯」などです。また、これについては書く予定です。

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【2012/11/29 20:55】 | 症例
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11月××日外来

20代女性。再診。
痩せ型の女性。
笑顔は明るいが、頬に赤い発疹がいっぱい。

2年前から顔に湿疹が出てステロイド剤の外用でよくなっていたのが、
だんだん効かなくなって、ますます悪くなって1月まえに来院された。
ステロイドは中止させて、食事に注意させて、滋陰降火湯を処方されている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どうなりましたか?」
  「少し落ち着いてきました」
いつもマスクをして診察室に入ってこられるのが今回はマスクは付けていない。
「よかったね。かゆみひどい?」
  「かゆみも治まって、火照りも治まりました。ぶつぶつも減ってきて..」
「よかったね」効果に驚いたように、井上先生も、効いてきたのがうれしそう。
「滋陰降火湯です。最初はこうだったのよ。」と、以前のひどかった顔の状態をサントに説明してくれる。

「食べ物気をつけとるね?少しずつ変わるでね、気にしてステロイドは絶対塗らんことやね。一時はいいけど、またひどくなるでね」
「これでしばらく続けますよ、飲み食い注意してがんばってください」
井上先生は皮膚疾患のときは必ず食事の注意をされます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回も滋陰降火湯を処方されました。

井上先生のコメント
「滋陰降火湯は黄柏が入っているから熱が取れるし、陀羅尼助ですよね、だから胃腸にもいい。滋陰至宝湯と滋陰降火湯の違いは、滋陰至宝湯は柴胡がはいっていて、滋陰降火湯は黄柏が入っていること。」
「かさかさタイプだから滋陰が必要なのよ」

加味逍遙散と滋陰至宝湯の違いは「加味逍遙散のかさかさタイプのひとが滋陰至宝湯。加味逍遙散よりイライラが軽くておとなしめ」

白虎加人参湯との違いは、「白虎加人参湯は実熱につかう。このかたはおなかも弱いし虚熱と考えられるので滋陰降火湯を使いました。白虎加人参湯は火照って寝れんとか、グチュグチュになるとかのときにつかう。どちらかというと短期処方の薬。このかたはかさかさタイプだからね。」

「滋陰降火湯はSLEの蝶型紅斑にも使える。膠原病には滋陰剤がいい」

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【2012/11/22 23:29】 | 症例
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11月××日外来

50代女性。
6月から来院されていない。久しぶり。
顔がむくんでいて水毒がありそうな感じ。
前回は、卵巣癌の手術後の腹痛と低体温に対して、煎じで附子湯を処方されていました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「今日はどうされました?」
  「肩こりと...」
「手術後の検査はいいの?」
  「3ヶ月ごとにやっていいです」
「それじゃ、休んで、おなか出して」
井上先生は腹診をされて「やっぱり低体温は低体温だね」
腹部のへそ下に縦に手術の傷が痛々しい。腹部は冷えて力がない感じ。
張ってガスもたまっている。
「お通じ出ている?」
  「ご飯食べると、左のおなかのここがすぐに張ってくる」と、患者さん。

「真武湯と大建中湯でいくか、附子湯でいくかなんですが。こんだけのおなかなので、あっためないとしゃーないね」とサントに説明してくれる。

ここでコトダマ診断をされました。
「二ついうでね。目つぶって教えてね。真武湯と大建中湯を一緒に飲みました。これで行くか...附子湯を飲みました...腰があったまってきたね。やっぱりこっちやね。前と同じの煎じにしとくよ。寒いでね風邪ひかんようにね。体大事にしてね、うまく行っていてよかったね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回も前回とおなじ附子湯を処方されました。
11月になり気温が冷えてきたので患者さんはまた症状が出てきたのでしょう。
夏の間は症状がなかったので来なかったのでしょう。

井上先生のコメント

附子湯は真武湯の生姜のかわりに人参が加わる。
冷えがあって下肢がむくむ人によい。
下半身の冷えとむくみでは水毒と裏寒と見て附子湯がよい。

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【2012/11/22 22:45】 | 症例
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11月××日外来

60代女性。
長身の初老の女性。
体幹にくらべて下肢がやや細めに見える。
足の裏がほてって腰が痛いという主訴で来院されました。

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「1年前に介護していた90歳の母がなくなってから、調子がよくないのです。目がかすむし、腰が痛くなって、便もコロコロで、特に足の裏が火照って、あしだけ布団の外に出してねています」と、おっしゃる。
「腎臓が弱るとそういう状況になりやすくて、漢方では足の煩熱といって、それをよくする薬をおのみになるとよくなることがありますよ」
「すごく焼けるように熱くて足を布団から出して寝ています」
腹診をしながら「胃腸はおじょうぶタイプですよね。腰は痛くありませんか?」と、井上先生。
「今は腰も痛いです」と、患者さん。

そこでコトダマ診断をされました。
「今から実験しますよ。実験ですからあまりいろいろ思わんでくださいよ。じゃあ、八味地黄丸を飲んだと思ってください。思うだけでいいですよ...牛車腎気丸を飲みました...こっちやね。頭がスカッとするね。こっちやね。今お飲ませするでね」牛車腎気丸のほうが気の流れがいいようです。

患者さんには牛車腎気丸をその場で飲んでもらいました。
飲んですぐに、
「この辺スッとしてきたね」と頭、顔の辺りをさして井上先生が言われます。
「なんか、目もパッチとしなかったんですけど...すこしいいみたい」と、患者さん。
「目にもいいし、足にもいいし、腰にもいいし、お通じにもいいし、といういいお薬ですよ」と、牛車腎気丸を処方されました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

井上先生のコメント
「足の煩熱は下焦の問題、腎の問題。五心煩熱とは少し違う。五心煩熱は胸とかの熱も関係する」
「丈夫なタイプの人は女性でも八味地黄丸や牛車腎気丸がよく効く。男性に限りません」

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【2012/11/22 21:52】 | 症例
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11月××日外来

70代男性。
顔がやや赤め。声は大きくて言葉はしっかりしている。
動作は腰がやや重そうな感じがある。
夜間尿で通院中。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  「ここんとこ10日ぐらいは調子が良かったけど、また悪くなってきた、2時間ごとだったのが大丈夫だったが、また寝れんようになった」
「それじゃもうっちょと薬加減するで、やすんでくださる」
腹診するために患者さんには横になってもらった。
「清心蓮子飲で一時調子がよかったけどとおっしゃっている、六味丸をたすとか、やってみるかですね」と、井上先生が説明してくれる。
腹を触りながら「下痢はせんよね?」
  「下痢は全くせんようになったので喜んでますよ。ときたま下痢はあったんですけど」と患者さん。
下腹部がすこし盛り上がっているので「ちょっと腸が弱いね」と、井上先生。
「たべすぎていない?」と聞くと、
  「体調がよくなったので、これは調子が良いとおもって、体重が57kから60kに戻った」と、食べすぎがあるのかもしれない。
右の季肋部に細絡が認められる「これは駆瘀血したいのですが...」と説明してくれる。
患者さんは顔がすこしほてって手足にも少しほてりがある。

ここで井上先生は処方を決めるためにコトダマ診断をされました。
「ちょっと体に聞きますよ。清心蓮子飲だけのみました...清心蓮子飲に六味丸を半分足して飲みました...清心蓮子飲と六味丸を一包飲んだ....本当は..味麦地黄丸を飲んだ...目が余計すっきりするけど。保険じゃなくていい?」味麦地黄丸がよさそうですが保険適応ではないのです。
「味麦地黄丸を5丸飲んだ...じゃ、3丸飲んだ...7丸飲んだ...7丸でもいいね」と丸数もコトダマで診断できます。
そして、その場で患者さんには味麦地黄丸を飲んでもらいました。
・・・・・・・・・・
患者さんには10分後にもう一回診察室に入ってもらいました。
患者さんを見て「頭スッとしたよね」と井上先生がおっしゃる。
見ただけで気の変化がわかるのです。
「そんな気がする」と、患者さんも言います。
「体がよくなって落ち着いてきたもんだから、こういう薬がのめるようになったのね。夏の間、暑い時はどうしても胃腸が疲れていたので、胃腸をよくしながらという薬しか使えなかったんだけど、今回は大丈夫だと思うのでね。食べ過ぎんようにしてくださいね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回は味麦地黄丸(八目製薬の八仙宝寿丸)を出されました。

井上先生のコメント

「これはいい薬です。これは私の好きな薬です」
「六味丸に麦門冬と五味子が入っているので肺の症状をとります」
「このグループの味麦地黄丸、知柏地黄丸、杞菊地黄丸の3つはいい薬です」
「中年以降の保健薬として使えます」

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【2012/11/22 20:14】 | 症例
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11月××日外来

40代女性。再診。

通院されている患者さん。便秘がひどくてセンナを長期間服用されている。
漢方で対処しようとするが、それでも便がなかなかでないと言われる。
最近、風邪を引いて咳もなかなか止まらないと言う。
痩せ型で、少し神経質そうな感じ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「センナはどうしている?便はでない?」
  「半分にしたんですけど、ちょっとは出るんですけど、全部はでない」
「口の回り荒れているよね。食べ物気をつけている?」
  「あんまり食べなくてもで、おなかだけは腫っているような感じがするんです。おなかとは別に、つかれると頭が痛くなって吐き気がするし。何も食べれなくなって頭痛もするんです。」

「わかったよ、休んでくださる」と、腹診のために寝てもらう。「じゃあ、まあ、便のこと考えずにいこうか」と、井上先生。
「センナじゃないとあかんかね?口のまわりがあれているものね..」
腹診をすると左腹直筋の緊張、胸脇苦満はすこしありました。
舌診では胖・淡の所見。疲れもあるようす。
「左腹直筋が緊張しているよね。柴胡剤にいこうかとおもうのね。便秘のことは考えずに」と、サントに説明してくれる。
「抑肝散加陳皮半夏か加味帰脾湯...」

「ちょっと起き上がって」と、次には患者さんに座ってもらい、
右の背中の肝臓の裏あたりをなでて「ここの流れ悪いのでね」と、胸脇苦満がはっきりしていました。
井上先生は胸脇苦満をみつけるのに悸肋部でなくて肝臓の裏をよく見ます。
そこで「やっぱり柴胡剤にします」と柴胡剤にすることになりました。

「そのままにして、楽にして」と、安静にさせて
「ぐっすりねれんわけ?」
  「すごく夢をみる、すごっくよく夢をみるんです。浅いって言うか」と、患者さん。
「じゃや、ふたついうでね。ちょっと目つぶっといてくれる」と、コトダマ診断を開始。
「抑肝散陳皮半夏を飲みました..これで行くか..加味帰脾湯を飲みました...こっちで行くか...」
「抑肝散加陳皮半夏のほうが、背中があったかくなってスッとするかな、なんとなくね」
「ちょっと、今飲んでもらうわね」
「バランスよくなるから、気分がよくなると思うので、今飲んでもらうよ」と、
患者さんにはそのまま抑肝散陳皮半夏を1袋飲んでもらいました。
・・・・・・・・・・
10分後に患者さんを呼び入れました。
入るなり「体が重たくてねむくなった、眠くなってしまった」と患者さん。
「眠くなったということは、落ち着いたということやね。いいです」と井上先生は診断に確信をもたれました。

「ちょっと休んでくれる、寝てくれる」と腹証をもう一度みると、
腹直筋の緊張が見事になくなっていました。
「緊張がとれたよね、だからいいんです。よく寝れるようになるよ」
  「すごく、このまま寝たい感じです」と眠そうに患者さん。
「よかったね、よう体に効くねこれ」
「小建中湯という体の疲れを取る薬と一緒に出しておきます。そうすると便も出やすくなるでね。」

  「口が荒れて、あるときから口紅もぬれなくなって、リップクリームもなにもぬれなくなった。塗るとバーッと腫れてきて、センナのせいですかこれ?」と、患者さん。
「ようわからんけど、やめようそれ、ね。こんだけ飲むのはいかんは」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
漢方は抑肝散陳皮半夏と小建中湯を出されました。
便秘に対しては、害が少ない酸化マグネシウムとパントテン酸を処方されました。

井上先生のコメント

「抑肝散陳皮半夏で腹証が見事に変わったね」
「患者さんとしては、眠たいとしかよう言えんのよ。自分としては緊張がとれたとはいえんわね」確かにそうですね、患者さんが腹直筋が緩んだとはいえませんよね。
「この患者さんでは、小建中湯を足してあげて肝を補いながら、柴胡剤で肝を瀉すようにしました」と説明してくれました。

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【2012/11/19 21:58】 | 症例
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11月××日外来

30歳代、痩せ型で長身の男性。初診。
すこし弱々しい印象がある。

昨年からアトピーが全身に広がり、下痢があり、眠りが浅い、花粉症もあるというのが主訴。
健康には大変気をつけていると。
酒もコーヒーもやめて、野菜を摂って、早く寝るようにしているという。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「それでも治らん?」と井上先生。
  「それでだぶ治ったんですよ。でもまた冬になってからわるくなった」
「それではお体見せてください、おなかたくさん出して」
井上先生は腹診をしながら、「疲れやすい体しているね」と言う。
患者さんは「疲れやすいです」と答える。
「水分は?コーヒーは?」
  「コーヒーは一切取らないです。ジュースも取らない。水と黒豆茶とあと野菜ジュースぐらい」
「黒豆茶もつめたい?」
  「暖かいです」
「水は」
  「水は冷たいです。朝起きたら水飲んで、健康にいいというのでやっています」
「それ飲んだらどうなる。内臓がさがちゃっているよ」
  「わかんないです、よくテレビとかで、健康にいいというので」患者さんは、ボーっとした感じで返事をされます。
「健康法は自分でためして、自分がどうかということで決めにゃあかんのちゃう?
誰がなにいってもあなたに合っているかわからんしね。鵜呑みにしたらあかんよ。眠りも浅いの?」
  「そうです、昔からで、最近特に朝目がさめて、テレビつけてボーっとして...」
「下痢もする?」
  「回数は多くはないんですが、1日1回ぐらい」

「内臓がさがっとるんですが。全体は建中湯証ですが。冷たいものを飲みすぎているので内臓がさがちゃっているので、たとえば大建中湯を足したほうがいいのかね。」
と考えながら、サントに説明してくれる。
「建中湯証にしては興奮しやすいところがあまりないね。補気から行ったほうがいいのかな..」
とすこし迷っておられる。
「啓脾湯などから行ったほうがいいのかな..」
「眠れんほうは、胆寒というかんじやね。肝に熱よりはどちらかというと胆寒という感じやね。温胆湯ださんいかん感じやね」

処方が大体浮かんできたので、後はいつものコトダマ診断で最終的に決めました。
「ちょっと体にきくでね。私たちの体は肉体だけの存在でないので薬の名前を聞くだけで体が変わるでね。温胆湯を飲みました...」
「じゃあ、加味温胆湯は...これもいいわね。頭がすっとしてきたね」
「神経を休めるような、おなかを休めるようなね加味温胆湯を飲みました...」
「温胆湯よりも加味温胆湯がいいみたいね」
加味温胆湯のほうが気の流れがいいようです。

「ちょっと煎じでお出しするわね。3食以外は何も口にいれんようにして、水を飲むとかやめて。黒豆茶もよくわからんけど、今日煎じ薬出すから飲まなくていいですよ。」
「あなたの体は腸が弱い体なので余分なものを口の中に入れたらあかんよ」

「それと、いま仕事せんでもたべていけれるの?」と、患者さんの仕事のことを心配される。
  「いま、何とか大丈夫です」と、患者さん。
「今度は本当に自分の好きなことをやってほしいね。自分が楽しいと思う仕事をやってくれるといいね」と、励ましの言葉をかけられました。
「いまそういったら体が楽になった」と、井上先生が声をかけた瞬間に、患者さんの体が変わったようです。
「いままでがまんしてはたらいていたの?」と、井上先生が尋ねられます。
  「そういうことはないです..」と、患者さん。
「だいぶ気分に左右されるほうやね」
「本当に自分が生きていて充実感感じられる、幸せ感じられる道を探そうね」
「何でもいいからっていうふうに暮らしていると自分のハートが燃えんから体が
悪くなちゃうよ。自分を大事にしてやってくれる」
「回りに惑わされんようにしてくれる。健康法は自分にあう健康法をやらなあかんよ。
人がなにいっとても、自分で一つずつ確かめていったほうがいいよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この患者さんには、まず、加味温胆湯で治療を開始されました。

井上先生のコメント
「自分のことをしっかり決めれん。優柔不断。胆(キモ)が冷えとる」
「ボワッっとしとる、人の健康法を考えずにやっとる」
「六君子湯とか啓脾湯を出そうと思ったけど、あのボワッとしたのはとれんだろうね」
「たんなる胃腸が弱いだけでなく、なんか鵜呑みにしとる。胆(キモ)が冷えとる。」
「建中湯のように上にいっとらんしね、建中湯でもない」
「竹茹温胆湯は柴胡がはいとるから、いまおちこみすぎるので柴胡はだめやね」

Dr.サントのコメント
井上先生はコトダマで診断するのはもちろんすごいのですが、
この患者さんにはコトダマで励まして気の流れをよい方向に持っていっています。
心理療法的治療を同時におこなっておられるのです。
「ハートが燃えるように生活すること」これは我々にも大事ですね。

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【2012/11/19 21:44】 | 症例
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11月××日外来

40代、男性。初診。
実直そうな男性。80kgぐらいで太っていて顔も赤い。
喘息があり、10年前から体重が増加、
高血圧の薬を飲み始めてから喘息がよくないという。

知り合いの薬剤師さんから、あまりにもたくさんの薬を飲んでいるので、
井上内科を紹介されて受診。

循環器内科と呼吸器内科に別々にかかっている。
合わせて西洋薬を8種類飲んで吸入もやっている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「喘息っていろいろの薬を飲むと悪くなることがあるね。」
「アダラート、オルメテック、パリエット、アレグラ、...etc.」と数えている井上先生。
「食事はどんなことに注意している?」脈を診ながら「ちょっと動悸というかあるよ。からだのなかがえらいね」
  「そうですね」と、患者さん。
「くしゃみ鼻水は出ませんか?」
  「でますね」と、患者さん。
舌を見ながら「口の中ねばるね」舌には白苔がある。
腹を触りながら「こここつめたいよね」と、井上先生。
患者さんの手をもっていって「ここ水分というツボなのね。ここが冷えとる」と教えてあげている。
「夕飯は何時にとるの」
  「9時半とか10時半とかです」
「夕飯は早めにして。一番は、空腹をすこしみたすぐらいにして。寝れる程度にして、
そして朝と昼にしっかり食べて、そうすると痩せれるよ。基本的には体が疲れてういることと、
ひえがあると思うよ。」

そこで、コトダマ診断をされました。
「私たちの体は肉体だけの存在ではないので薬の名前をきくだけで変わるでね」「いま実験しようね。真武湯を一日2回飲んだ...」「背中がすこしあったかくなってきた..でも動悸がするね。胸えらいね」
「真武湯と小建中湯を飲んだ..ちょっと動悸がある。」
「それじゃね、木防已湯を飲んだ...口の中が楽になって背中が楽やね」
最初は虚労+冷えと考えて真武湯と小建中湯で行こうと思われたようですが、
気の反応がよくない。
そこで、隔間の水を降ろす木防已湯で試すと、この方が気の流れがよかったようです。

「今から木防已湯を飲むよ、飲ませるあげる」と、患者さんにその場で木防已湯を1包飲んでもらいました。
そして、井上先生は胸を指しながら患者さんに説明しました。
「いま、ここが苦しいと思うのよ。ここにリンパのうっ滞のようなものがあって、それで喘息みたいになっている。いま、飲むとわかるでね」「10分ぐらいしてもう一回お呼びするでね」
・・・・・・・・・・
10分後に患者さんを呼び入れて、
「今どうなった? 私から見ると背中と丹田が暖かくなってきたけど」
見ただけで、患者さんの変化を察知されました。
  「丹田はそういう感じがしますけど..」
「呼吸の感じは?胸、楽になってきているけど」
  「あんまり、わかりませんが..」と、患者さんはわかりにくい様子。
「これ効とるので、これお出しします。木防已湯とうい心臓喘息の薬をお出しします。」
  「心臓ですか?肺じゃなくて?」と不思議そうに患者さん。
「心肺がよわった結果として喘息になっとる。あなたの場合は。血圧の薬を飲みだしてからやろ?」
  「そうです」

そこで、またコトダマを使って、気の反応がよい西洋薬だけに減らしました。
「心臓と肺の先生も精一杯やって下さっているけど、あなたの体一つだからね、
すこしからだが悲鳴をあげているから、ちょっと少なくしようね」
  「はいわかりました」と、患者さん。

「いま、胸の感じどうなった?」
  「さっきよりすっとしてますね」木防已湯が効いてきたのが患者さんにもわかったようです。
多くの場合、井上先生が感じるのが早くて、すこし遅れて患者さんが実感するようです。
やはり、気の変化の方が早くてそのあとに水とか血が動くのでしょう。
「呼吸が楽になってきたね、なんか話するのが楽じゃない」
  「さっきは喘息気味だったですけど、今はないですね。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回は、木防已湯を処方されました。また、冷えがあるので、
風邪気味の時には真武湯を間に飲むように指示されました。

井上先生のコメント
「いろいろ薬を飲みだして喘息が悪くなることは結構ある」
「木防已湯は心臓喘息の薬です。」
「胸にリンパがうっ滞しているのを取ることができる」
「舌がぬるぬるしてたよね、痰飲がありましたよね。
これが取れるかもしれん。あれは湿邪だよね。熱邪でない。」

Dr.サントのコメント

*井上先生は食事の注意をとくにしっかりされています。
夜はあまりたべないこと、遅くに食べないことが大事だといわれます。
井上流漢方では病気を治すには生活を整えるのがとても大事だといわれます。
リンク
*コトダマ診断は今回の症例のように西洋薬の選択にもつかえます。

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【2012/11/19 21:22】 | 症例
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11月××日外来

20代女性。
今回は風邪を引いたので、1年ぶりに来院。
ずっと調子よかったが、風邪気味で右の耳の下が痛くて、
おなかの調子が悪いといわれます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「いつからかぜひいた?」 「2,3日前です」
「せきは?」 「せきはでないです」
「じゃ、ちょっと横になっておなか出してね。1年ぶりだからね」
井上先生は、腹診をしながら「お元気そうやね」
 「体調はいいんですが」と患者さん。

井上先生は大腿の内側を触りながら、
「内モモ、ここんところが弾力性があって暖かければ相当の薬が使える。ここを目安にしとるんですが」
と、サントに教えてくれる。井上先生によると、内モモは腹の力を表すらしい。
「前の薬とイメージと変わってきたような、内モモがピチッとしているから、健康的だと思います。」
「おなかはだいぶいいよ。下腹に少しおけつがあるのかな。」
と下腹に瘀血を察知されました。

「ちょっと舌見せてくれる」
患者さんが舌を出すと、
「そやね、ちょっと熱もっとるけど。腰いたいことある」
 「腰いたいですけど」と患者さん。

腹診と舌診が終わり、漢方のイメージが固まったようです。
以前は六君子湯を使っていましたが、今回は違うようです。
そこで、確認するため、コトダマ診断を行いました。

「体に聞くでね」と言って、患者さんを寝させたままで、
「安中散を飲みました..安中散を飲んだと思ってみて...」と言うと
「口のなかがすっとするね。おなかが温かくなってきたね、腰のくすりにもなる」
安中散は気の反応がいいようです。

そのまま、患者さんには安中散を1包飲んでもらいました。
「ちょっと5番をのんでもらうで、外に出てくれる。10分ぐらいしたらまた様子教えてもらうから」
井上先生は診断を確信するためにコトダマで反応があった漢方をその場で飲ませることが多いのです。
・・・・・・・・・・
約10分後に患者さんを呼び入れて
「どんな感じ? おなかのここのところ楽やね。」と患者さんを見た瞬間に変化を察知されました。
腹を触らずに変化がわかるのがすごい。
「腰の感じは?」
 「腰もちょっと楽になったかんじです」
「そうやね」
「ここら辺は?」と首を指すと
患者さんは「首の中をめぐっている感じ」と言われます。
そうね「めぐっているよね」と、患者さんの体の中の気の流れが井上先生には
そのまま伝わるようです。

 「前も安中散を飲んだことがあるんですけどそのときと味が変わったと思うんです」と患者さん。
「今ね、あなたが努力してくれたので、安中散が効くようなレベルになったのね。
前は六君子湯とかでやっていたけど」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結局、今回は安中散を処方されました。

井上先生のコメント

「内モモがピッチとして腹に力が出てきて、まえの六君子湯とかいらん感じがする。」
「しかし、そのかわり瘀血がすこし出てきたので安中散にしました。」
「瘀血有るもんね。それで口のまわりあれているしね、げりはせんようだしね。」
「安中散は風邪薬でもあるしね。かるい駆瘀血剤で生理痛の薬でもあるし、腰痛のくすりでもある。」
「暖めて滞りをとる作用が有るので風邪薬でもある」

風邪、腹痛、腰痛、耳の下の痛み、すべてに、
わずか安中散1本で対処できるとはすごい。

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【2012/11/17 19:45】 | 症例
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11月××日外来

20代女性。
昨年、ニキビがひどいと来院。
初診で小建中湯を煎じで出して、よくなって、十全大補湯でしばらく見ていた方。
2ヶ月程度で来なくなっていました。

ところが、今回もニキビがひどくなったので来院する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  「ニキビがよくなっていて、仕事が変わったりとか忙しかったので来なかったんです。」と患者さん。
一見、大柄なガッチリした女性。虚しているようには見えない。

井上先生が患者さんの手に触れながら、「足がべとべとになったりとかしない?」
  「ならないです」と患者さん。
でも、私も触らせてもらうと、手も足もすこし火照っていて湿っている。
井上先生は患者さんの脈を診ながら「やっぱり、脈は虚やね。すこし動悸もあるね、小建中湯やね」と小さく独り言。
「あのね、疲れやすい体しているでね」
「粉薬で、小建中湯という薬を1日2袋、お出ししてみるでね」と患者さんに言う。
ところが患者さんは
  「このあいだもらったやつが、私にはきいているみたいで...」
「48番、十全大補湯?」と不思議そうに井上先生。
  「あれじゃなくて、その前にもらった煎じ薬があったでしょ。あれだったら体がすごく軽くなって、楽だったんです。」
「ああ、そうなの、あれよかったんだね」
「じゃあ、あれださせてもらうよ、小建中湯煎じでね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
患者さんの希望通り、小建中湯を煎じで出すことになりました。
患者さんの主訴はニキビの再発なんですが、本当は体がだるくて重たいという
虚労状態がその基礎にあったのです。

井上先生のコメント

一見して大柄の女性でかつ下腹もかためで、サントは駆瘀血剤も疑ったのですが
井上先生はあっという間に小建中湯の処方に決めました。
患者さんの方からも前にもらった小建中湯がよかったといいました。

「脈が虚だものね。典型的な脈をしとる」
「手がべとべとして、火照っていて、動悸もあるでね。」
この患者さんは典型的な小建中湯証だといわれました。

ニキビだから十味敗毒湯というわけにはいかないんですね。
やはり、患者さんが口で訴えることより、その奥の体の声を聞かないといけないと
思いました。

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【2012/11/09 22:12】 | 症例
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11月××日外来

幼稚園の男児。

夜尿に対して甘麦大棗湯を処方している子供さん。
過敏性があるのか、待合室でも「ニャー、ニャー」と猫の鳴き声のまねをして、
あちこち、ごそごそ、動いている様子が、診察室まで伝わってくる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
母親に連れられて診察室に入ってくる。

入ってくるなり、
母親が、「おねしょが1回あったんですよ」という。
それに対して、「まず、よかったことを言いましょう」と井上先生。

子供はやせ気味で、やはり過敏性がありそう。
でも、甘麦大棗湯で夜尿は減っているようだ。
腹診でも腹の緊張が取れている。処方は効いている。
子供は井上先生に触られるのはいやでなさそう。

肌にすこしざらざらが出てきたので、
「これは陰を補うことが必要だね、芍薬がすこしいるね」と井上先生、
そこで、薬包紙の上に麦大棗湯と真武湯を少し混ぜて机の上において、
一方で母親に話しながら、子供に勝手に舐めさせている。

母親には、「子供によいこととばかり言いましょう」と井上先生。
「親ばかと思われるぐらいがちょうどいいよ」
「うちの子は、うちの子はすごい。いい子だ、いい子だといって育てればいい」
「子供は大きくなったら、自然にわかってくるから、うちのカーちゃんは親ばかだから」って
「客観的に見えるようになったら、わかってくるから、いいことばかりいって
やって育てたらちょうどいいよ」と井上先生。

子供は、「まずいの飲まないよ」と言いながらなめ始めている。
と、だんだん静かになって結局全部舐め終わった。

「美味しかったの、よかったね」と井上先生。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして今回は、甘麦大棗湯に真武湯を加えて処方されました。
真武湯で冷えを取って、芍薬が陰を補うことになるのです。

井上先生は要所要所で真武湯を上手に使われます。

井上先生のコメント

本当なら小建中湯とかでしょうけど、過敏性があるのでいけない。
まず気を下げて安定させなければいけない。だから甘麦大棗湯でまず始めた。
次は陰を補うことが必要になってきたので、芍薬が入っている真武湯を出した、とのこと。

「漢方では補血、補陰、滋陰が最終的に基本なんですが、それが最初からいける人といけん人がある」
「まず、気を動かして、気を安定させることが大事」とよく言われます。

自分の子供に対しても、悪いことをみずに、いいことに注目することはむつかしい。
親ばかになって、いいことばかりを褒めていると、確かに子供の内の力が育ってくる。
それが子供の気を安定させて漢方で陰を補うことと同じことなんだと、サントは思いました。

母親にたいする指導が、子供にたいする治療になっている。
さすがだ、とまたまた感心しました。

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【2012/11/08 17:29】 | 症例
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人参養栄湯

・最近、井上先生は人参養栄湯を使う機会が増えていると言っています。

「最近リュウマチで人参養栄湯がいい人が多いのよ。」
「大防風湯を出していていた人で人参養栄湯に変えてから痛み止めがいらなくなったひとがいたね。湿疹もそうなんですが。アトピーも若い人で人参養栄湯でいい人が多い。」
「最近のアトピーではいいことが多いね。免疫力アップは人参養栄湯がいいのかもね。」
「胃腸をよくして、神経をおさめることがいいのかもしれないね。」
と、おっしゃっています。

”皮膚病は腸をよくすれば治る”、とエドガーケイシーの言葉をよく引用されます。
私はそこまで勉強が進んでいませんが、皆さんエドガーケイシーの著作に当たってみてください。

・また、別の機会には、「今は迷っている人が多いからね、桃核承気湯や黄連解毒湯を使う人はすくないよ。みんな閉じこもって迷っている人が多いからね、甘麦大棗湯や人参養栄湯を使うことが多い」とおっしゃっています。


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【2012/11/06 11:53】 | 漢方解説
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11月××日外来

70歳代、男性。
体も大きく、陽気そうで、一見したところ丈夫で元気そう。
でも、膀胱癌があるというのです。

尿の出がわるくなってM病院泌尿器科で膀胱鏡検査をして膀胱癌と診断されました
自分でも画像を見せられて癌が一杯あったといいます。

その病院では処置ができないのでG大学病院の泌尿器科に紹介されました。
すがる思いで、人から聞き伝えて井上内科受診。

カルテを拝見すると、初回にビオトーワと猪苓湯を処方、次回からビオトーワと猪苓湯合四物湯に変更しています。
今回が、3回目の診察でした。だから、初診からあまり時間が経っていない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どうなりました?」と、井上先生。
  「それかがさ、ないんや、ないんやって。」と、声をひそめて男性が言っています。大学病院で膀胱鏡の検査をしたら癌がなくなっていたそうです。
「よかったね」と、驚いて井上先生。
  「信じられねーって、そんなに早くすぐに効く?」
「あなたってものすごく徳があるから利くんだね」
  「医者もね、ふしぎがっとるよ。なぞだって。不思議がってござるよ。M病院では、膀胱もとって、ひょとして前立腺もとってもらわなあかんで、うちではやれんけん、大学病院にって、それで大学病院にいったんよ。」と、声がだんだん大きくなってくる男性。
  「それがね、不思議がっていた。MRIとったら見えんのよ、きれいに消えちゃったのよ、でも、それって言われとるけん。やらなあかんのでやった。」嫌だけど膀胱鏡の再検査を受けたようです。「来年の2月で3ヶ月でもう一回MRIかけるって」と、男性。
「それまでずっと漢方飲もう」と、井上先生。
  「のむ、のむ」と、神妙に男性が言います。
「あなたはね、よっぽどお徳がある人なのよ。よぶんに命もらっていると思って大事に使わなあかんね。今生きている生き様が神様のおめがねにかなっているのと思うよ」と井上先生。

  「それがね、小便がよーでるんよ。出過ぎるぐらい。100mlもたまればおしっこしたくなる。たとえば、2時間とかね。それぐらいでしたくなるよ」と、男性。
そこで井上先生がコトダマで診断をしました。
「ビオトーワを飲みながら清心蓮子飲をのんだ・・?ちょっと違う薬いうでね。」清心蓮子飲ではいい反応が出ないのでしょう。そこで、
「体に聞くでね。体がいいかどうか教えてね」
「猪苓湯合四物湯を飲んだ・・やっぱりこっちが楽やね。こっちがスッとするわね。体は112番のほうがいいといっとるのでこれを気長に飲んで。あとはちょっと体重を減らして。なんでも足るを知るという生活をしましょう。美食すると癌にえさをやるといわれているよ。目にみえん癌はまだおるかもしれんから、だから、なるべく仙人に近くなるといいよ」と、井上先生。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
処方はビオトーワと猪苓湯合四物湯を継続することになりました。
私としては、患者さんが仙人に近づいて癌が消え去るか、今後の楽しみです。

井上先生のコメント


「ビオトーワを飲みながら猪苓湯で始めて、猪苓湯合四物湯にいったんですが、これでいいみたいね。」
ビオトーワとはビタミンB1誘導体ベンフォチアミンことで、癌にも効くということで、最近井上先生が凝っているものです。またいつか説明する機会があると思います。

話を聞きながら、ウ~ン、癌も消えるのかと、サントは驚きました。
でも、この方は劇的に効いたようで、「こんなに効いた方初めて」と、
井上先生もびっくりしていました。
井上先生の外来ではときどきびっくりすることが起こります。

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【2012/11/05 22:57】 | 症例
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最後に、一番難しいところの説明をします。
3.言葉で患者さんの魂に働きかけて治療に導く方法

クリニックには心が疲れた人、心を病んだ人もたくさん外来にこられます。

井上先生は、そのような人には、魂に響く言葉を的確にかけることができます。言葉は力を持っているのでその言葉で治療ができるといっておられます。
だから「言霊、言魂(コトダマ)」と言うのでしょうね。

魂に言葉が響いたときは患者さんが泣き出すこともしばしばあります。
このあたりは見学しているサントにすると不思議な光景を見るようです。
言葉をかけただけで患者さんがよくなるとすれば、これはすごい。

医者は病気を治す仕事をしているので、常に患者さんの悪いところばかりを探します。よいところに目がいかない。でも、悪いところばかりを指摘すると患者さんは心を閉ざして治療が進まない。

井上先生はよいところを見つけるのがとても上手です。
患者さんのよいところを見つけて、言葉に気をこめて、語りかけると患者さんが心を開く。本当はこれがもっとも難しい。コトダマ診断よりこっちが難しい。
なかなかまねができません。

あるとき黄帝内経素問(移精変気論篇)を読んでいたら、
・・・「黃帝問曰:余聞古之治病,惟其移精變氣,可祝由而已。」
皇帝問いて曰く、余聞く、古の病を治するは、惟だ其の精を移して気を変じ、祝由して已ゆるべしと。・・・
という、文章に出くわしました。

ここでいう「祝由」とは「おまじない」とか「祝いの言葉」という意味でしょうか?大昔は気を込めた言葉で病気が治っていたというのですが、まさに井上先生がやっていることは現代の祝由ではないかと思っています。

いままでの説明で、このブログのタイトルである「気を見て気を動かす漢方」の意味がご理解いただけたでしょうか?
次から、いよいよ、井上先生の外来から実況中継していきます。
まだまだ、井上流漢方の奥は深いのです。ご期待ください。

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【2012/11/04 22:12】 | コトダマ診断
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さて、次はコトダマ治療について説明します。
2.言葉で患者さんの気を動かして治療に導く方法

井上先生が患者さんに「~を飲んだと思ってください。」というと患者さんの気の流れが変わるので、よい方向にかわれば診断と同時に一つの治療となっています。
かすかな気の変化なので持続効果は少ないですが、その後で実際に漢方を飲んでもらって効果を持続させ確実にすることができます。

また、ときどき、冷えた人には「三陰交に灸をしたと思ってください。」といって、三陰交に灸をしたのと同じような気の変化を誘導しておられます。
このあたりも治療につながります。

なお、井上先生はご自身では鍼をしていません。
Dr.サントのクリニックでは鍼をやって気を動かし血も水も動かすようにしています。

次の回には、コトダマ治療の真髄である、3.言葉で患者さんの魂に働きかけて治療に導く方法について述べます。

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【2012/11/04 22:05】 | コトダマ診断
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 さて、コトダマ診断ですが、これの理論的根拠は科学的には説明できない。
「気」の存在自身を前提として話しているので、この前提自体が科学の議論の対象とはなりません。
でも、「東洋医学」の枠組みで話すと、「気」という言葉は通常使われているのでこれを前提にして話してもいいのではないでしょうか。

そうすると、簡単には以下のような構図で説明できます。

・・・医師が「~を飲んだと思ってください」と言葉を患者さんに投げかける。その言葉が患者さんの聴覚を通じて脳に働きかけて、脳細胞に化学変化を起こす。そして強い変化のときは神経やホルモンを介して体にも変化が起こる。たとえば、「梅干をなめたと思ってください」というと、自律神経が働いて自然に唾液が出てきます。
体に変化が起こらないまでも、脳細胞の化学反応と同時に気の変化がおこっていて、これを医師は察知すればいいのです。・・・

でも、この構図は問題があります、患者さんは梅干をなめたことがあるので、すっぱいと知っています。
過去の梅干をたべた経験が記憶から引き出されて唾液が出るという反応が起こっているのです。

一方、ほとんどの患者さんは漢方を飲んだことがない。
飲んだことがない漢方、見たことも聞いたこともない漢方でも「コトダマ法」は有効なのです。

こうなると、説明が難しい。井上先生に言わせると「私たちは宇宙の蛸の足の一本だからね」とこともなげにいわれます。

怪しいことを承知で書けば、
 1.コトダマ法は患者さんにとって未知の漢方でも有効です。
 2.漢方のみならず、西洋薬、その他種々の対象物で有効です。
 3.必要量も診断できます。
 4.投与期間も診断できます。
 5.併用する漢方も診断できます。

とまあ、怪しいことだらけですが、実際に効くのです。追って、外来の報告の中で説明します。

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【2012/11/04 16:53】 | 井上流漢方
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 井上流漢方を説明するのに「コトダマ法」は避けて通れないので、ここであらかじめ説明します。「言霊」と書くとかなり怪しいので、「コトダマ」とカタカナで表記しました。

私の理解した範囲では、
1.言葉で患者さんの気を動かして、その気の動きを察知して診断する方法、
2.および、言葉で患者さんの気を動かして治療に導く方法、
3.さらには、言葉で患者さんの内面(魂?)に働きかけて治療に導く方法

を言うものだと私は理解しています。

これは、井上先生自身が説明してくれればいいのですが、直感が優れた人に共通するように、ご自身では説明してくれないので私なりのつたない解釈です。

1.言葉で気を動かして診断する方法

井上先生がよく使われる方法です。

患者さんを診察してある証がたったとします。その証に対応する漢方が3つぐらい頭に浮かんできたとします。そこで、一般的には、その漢方医の経験や口訣などに基づいて、その中からもっとも適合すると思われる漢方を処方することになります。

でも、現実には証が錯綜してはっきりしないことがとても多い。瘀血もあって、気滞もあって、胸脇苦満もあって、のぼせもあって、便もゆるいし、冷えもある。こんなときには何を処方するかはとても難しい。医者によっては5つも6つもの漢方を同時に出す人もいます。でも、患者さんは漢方だけで腹いっぱいになってしまって、症状はちっともよくならない。

コトダマ法だと、たとえば3つの漢方が候補に挙がってどれを使うか迷ったとします。ここで、井上先生は患者さんに次のような言葉を投げかけます。
「何々さん、Aという漢方を飲んだと思ってください」と。すると、患者さんの内部の「気」の流れが変わるので、それを井上先生が自分の体で察知します。
「頭がスッとする」とか「腹が暖かくなる」とか、元の症状がよくなる方向の気の反応があればその漢方はその患者さんに適合します。
Aの漢方でよくない反応が出れば、BもCもやって、もっとも気の流れがよい処方を選択することになります。
敏感な患者さんだと「頭がスッとするとか」「腹が暖かくなる」とかいう反応を同時に感じていて、自分でしゃべってくれます。
(* 今後、井上先生の外来からの症例報告でコトダマ診断を具体的に書きますので見てください)

「コトダマ法」とはただこれだけのことです。「~を飲んだと思ってください」というだけ。でもこれが難しい。常人には患者さんの気の変化を感じ取ることができない。井上先生に「簡単にわかるでしょ?」といわれても、見学しているサントは「ウ~~ン、なんとなく」としか言うしかない。

でも、患者さんはどんどんよくなっていく。やっぱり本物だと思って半年間わからないなりにも通い続けました。

井上先生のような特殊な能力がなくても、サントのような普通の医者でも患者さんの気の流れがわかる方法がないものかと思い模索しました。

その結果、編み出した方法がPhoto Touch Method(フォトタッチメソッド:PTM)です。これについては別の機会に述べます。
PTMを使い始めてから井上先生の「コトダマ診断」は本当だと腹から納得できました。

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追記: 井上先生の「漢方治療入門講座」にコトダマ診断について書いている箇所を見つけましたので、以下引用します。

『 漢方医学は気の医学です。
腎気丸と言うように、漢薬は経絡や臓器の気を動かすことで身体症状を改善するばかりでなく精神状態も同時に好転させます。

漢薬は少量でも充分な効果が得られることを良く経験します。
例えば、今日のように「一億総鬱の時代」では、軽い鬱の方に気分の落ち込みを払い元気をつける補中益気湯をよく投与しますが、エキス顆粒3gを1日量として充分な効果を得ることができます。
しかし、産後などで身体の力が著しく衰えた方は違います。エキス顆粒では薬力が弱く煎じ薬として投与します。また、精神錯乱に近い方に桃核承気湯エキス顆粒7.5gを一度に服用させ効果があったことがありますが、私は0.5gをなめただけで気を鎮めたことがあります。

当診療所には私がある漢薬処方の名前を口にした途端に楽になった、「それを今必要としている」と教えてくれる患者さんが来ています。
特に漢薬は目に見えない世界に通じているように思えます。』


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【2012/11/04 16:24】 | 井上流漢方
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 漢方と鍼灸の解離に悩んでいたころ、ツムラのMさんが外来にきて、名古屋のすごい先生の講演があるので参加しないかと誘われました。

漢方で何でも治すし、やさしくて「女神様」のような人だといわれました。
何が女神様かというと、講演料を取らないのでツムラは助かっているとのことでした。

そのころも、サントは漢方のセミナーにはすべて出ていたので、女神様もみたいし、何でも治すという漢方はどんなものか知りたかったので、喜び勇んでセミナーに出席しました。それが井上先生を最初に拝見した時です。

さて、井上先生の話は、当たり前のようなことを普通に話されて、最初はこんなものかと聞いていました。ところが、講演が進むうちに、だんだんと、ちょっといつもの漢方の偉い先生の話と違うんじゃないかと思うようになりました。「傷寒論」の条文の引用もないし、小難しい弁証もしないし、自分の経験した患者を紹介しているだけ。使っている漢方は教科書に載っているのとは少し違っているけど、当たり前の漢方で、それぞれの患者さんに合っていてきちんと治っている。ひょっとしてこれはすごい人ではないかと思うようになりました。

さらにサントのうれしかったことは、時々鍼の話もされ、気の流れについても言っている。この人は「気」が判るのだ!(^^)! と思いました。

そこで、講演が終わってから、演台のほうによっていって個人的に質問をしました。
寒い時期だったので私は左足が冷えるのでどんな漢方を飲んだらいいか、と質問しました。
すると、井上先生独特の「言霊(コトダマ)」という方法で診断してくれて、建中湯を飲めばよいと言ってくれました。
(*「言霊法」については後に詳しく述べます。ここに井上流漢方の本質の一つがありますので。)

その後、無理やり頼み込んで、2011年10月から毎週勉強に通っています。
サントはついに押しかけ弟子になってしまいました。

今後は井上先生の外来から、漢方診療の状況をビビッドに報告していく予定です。そして少しでも多くの人に井上流漢方のよさを知ってもらいたいと願っています。


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【2012/11/03 22:43】 | 井上流漢方
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 さて、そのころには鍼も外来の患者さんにやり始めて、足三里に鍼をうって患者さんの「気」を上下させることが曲がりなりにもできるようになっていたので、漢方の偉い先生の話しにどうも納得がいかなかった。

東洋医学の世界では「気」が根本理念のはずだと、鍼の勉強と実習をとおして思っていたのですが、漢方の世界ではそうではないらしいと、気づきました。
漢方の世界では「気血水」とよく言うのですが、鍼の世界の「気」とどうも違うようだと思うようになりました。

鍼では「気」はちゃんと実体があって、鍼で補ったり抜いたり操作できるもので、「気」の動きに伴って「血」も「水」も動くものだと理解されています。

ところが漢方の世界では「気」は「血水」と同列にあって、「気分」とでも言うようなものを指しているようです。漢方は飲んで腹の中から作用するので、漢方の世界では「血水」や「寒熱」を重視するのも納得できます。鍼は体表に作用して「血水」に届く前に「気」に作用するので、「気」を重視するのもわかります。

でも、鍼が好きなサントとしては、「気」をわかってほしい。鍼がわかって「気」がわかり、同時に漢方も優れた先生はいないのかという思いがありました。

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【2012/11/03 22:39】 | 井上流漢方
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 そうこうしているうちに、3年前にいろんな事情で開業を考えるようになりました。
「開業したら内科みたいなこともやらなあかんから、漢方でも勉強してみよか」と軽い気持ちで勉強に取り掛かりました。

漢方なんて飲んだことも触ったこともなっかたので、まずは、自分からということで、勤務していた市民病院の近くのクリニックの先生に十全大補湯を処方してもらいました。(勤務していたのは、市民病院ですが十全大補湯でさえなかったのです。漢方はまだまだ医者の間に市民権を得られていない。ある循環器の先生には、漢方が循環器疾患に効くなんてチャンチャラおかしいといわれました。(;_;))

ところが、これが効いたのです。飲んだ次の日から腹が暖かくなり、軟便が解消し、おまけに足の水虫までよくなった!さらに、このころ中国語の勉強を始めていたのですが、指に脂が乗ってきたのか辞書をめくるのが楽になった。
オーってびっくりして、今度は家内に加味逍遙散を飲ませたら、イライラが減って、穏やかな女性になってしまった!

これは漢方は捨てたものじゃないと思い直し、ツムラ(言わずもがなの漢方の最大手製薬会社)の開く医師用の講習会に毎週末ずっと1年間参加しました。講義を録音して、帰ってテープおこしをして、コンピュータに漢方のデータベースを作ることをやり続けました。同時に患者さんに使ってみて、なんとなく漢方それぞれの特徴やら使い方がわかってきました。

知識がどんどん増えていったのですが、でも、鍼のことは誰も言わない。偉い漢方の先生の講義では鍼のことはぜんぜん出てこない。
私としては「漢方も鍼も東洋医学じゃないの」という気持ちを持っていたのでどうも腑に落ちない日々でした。

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【2012/11/03 22:31】 | 井上流漢方
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 自分で言うのもなんですが、Dr.サントは脳外科歴20年のバリバリの腕のたつお医者さんでした。
脂が乗っていたときは、朝から晩まで手術のことばかりを考えていました。
新しい手術の工夫をしたり、難しい手術をどうやって成功させるかということばかりを考えていました。

そのころは、麻痺やシビレや頭痛など、手術ではよくならい病気には全然興味がもてなかった。(多くの脳外科医が今でもそうだと思います。m(__)m)

でも、頭の片隅には手術ができない病気のことがいつも引っかかっていました。そこで、約5年前に鍼灸に惹かれていったのです。

中国の鍼だと麻痺がよくなる(?)、シビレもよくなる(?)なんてことをどこかで読んで、鍼の研究会に参加したり、東洋医学研究所に見学に言ったり、鍼灸学会に参加したりして、見よう見真似で勉強をしていました。

そのころは「漢方なんて効くの?」と、かなり疑いの塊でした。「東洋医学をやるには、外科医は鍼でなくちゃ、漢方なんて女子供のやることよ」ぐらいに思っていました。20年脳外科をやって、こんなに脳外科医が苦労している麻痺が漢方でよくなるわけがないと、はなから思っていました。

ということで、サントの東洋医学の勉強のスタートは鍼からなのです。ここが、後に「井上流漢方」に惹かれる理由になるのです。

花2


【2012/11/03 22:25】 | 井上流漢方
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「井上流漢方」とは、Dr.サントが師事している名古屋の井上先生が行っている漢方のことをここでは指します。サントが勝手に名付けたのものなので、責任は私にあります。(多分、商標登録もされていないので訴えられることもないと思いますが..m(__)m)

どうして、井上流漢方と名付けたかというと、井上先生がやっている漢方はサントの知る限りではほかに類を見ないものだからです。

いわゆる、日本古来の古方でも後世派でもないし、中医学でもない。
だいたい、漢方の先生にはお師匠さんがいて、そのお師匠さんにはまたお師匠さんがいて、という具合に流派が決まっていることが多いようです。

ところが、井上先生にはお師匠さんがいない。
独自に30年かかってたどり着いた漢方だそうです。
そうすると、今までの漢方の枠に入れるのも難しいので、ここでは「井上流漢方」と言うことにしました。

井上流漢方の特徴は何かというと、
 1.食事、生活を重視する
 2.冷え、虚労、心虚を見抜く
 3.現代人にあった処方をつかう
 4.気の流れを見抜く
 5.気の流れを変える
このあたりになるのではないかと思っています。

1.~3.は他の漢方医の先生方も強調することだと思いますが、4.5.の
「気の流れを見て気の流れを変える漢方」はサント知る限り井上先生以外しりません。
この点こそ、サントが井上先生を師匠と仰ぐにいたった理由ですので、今後詳しく述べていきます。

今後のブログの内容は
* 井上先生の外来から、差しさわりのない範囲で、患者さんの実際の診療を紹介します。
* それと同時に井上流漢方の説明を行います。生の現場を題材にした方が多くの人にその素晴らしさをわかってもらいやすいと思うからです。
* よく使われる処方の説明を井上流漢方の観点から行います。口訣も井上先生の了解をえて入れます。
* その他、少しだけ、私の独自にやっている漢方、鍼灸についても話題を提供する予定です。

次回は、なぜ私、サントが井上流漢方にハマったのかについて述べてみます。

花1


【2012/11/01 21:41】 | 井上流漢方
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