FC2ブログ
日本古来の漢方や中医学とも違う、新しい漢方ともいうべき「井上流漢方」について説明します。患者さんの気の流れをみて気を整えることを第一義とする「井上流漢方」を名古屋の井上先生の外来から報告します。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

IMG_0122.jpg2月××日外来
40代女性
頭痛があると言って通院している方
痩せていて、すこし声のトーンが高い。
前回は半夏白朮天麻湯を処方している。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『どうですか?』
   「この前のお薬で首のこりが取れて調子よかったです」
   
『右腓骨神経麻痺はどうですか?』
   「あれは、整形に行って、力はいいんですが、まだピリピリがするのが残っていて、完全ではないんですが」
『それじゃ、この薬もう少し行こうね』
『腓骨神経麻痺は胆経の症状だからね、半夏白朮天麻にした。』と、サントに説明してくれる。腓骨のところは足の胆経が走っています。半夏白朮天麻湯は胆経の実の症状に使えるのです。

横になってもらって腹診をすると『胃がジャバジャバしているね』と、胃内停水をみとめます。
『舌出して』と、舌を見ると、歯根があって水毒の所見があります。

『早く寝ている?』
   「早く寝ています」
『食べ過ぎ気を付けてね』
   「食べ過ぎていません」
『これでいいと思うので、同じお薬にしときますよ。あとは神経をとがらせないこと。とがった分、自分が損するで、いろんなことあっても見て見ぬふりして、自分の本当にやりたいことだけニコニコしてやっていればいいよ』
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
今回も、半夏白朮天麻湯を続けて処方しました。

井上先生のコメント

・半夏白朮天麻湯の目標は?と聞くと
『胃内停水で、水毒もあるし、声のトーンも高い。腓骨神経麻痺もあるし、胆経の症状が特徴的』
『声のトーンが高くて、語尾が上がる。ちょっととんがっていて、険しくて、一見抑肝散加陳皮半夏に似ている』

・井上先生は、最近春になって清暑益気湯と半夏白朮天麻湯を処方する機会が増えていると仰っています。
サントの理解する限りでは、どちらかというと、清暑益気湯は「肝」の熱、半夏白朮天麻湯は「胆」の熱を表すようです。
「肝」と「胆」は臓腑では表裏の関係にあります。すると、春の気が動き出して、肝と胆に熱が起こって症状を出しているのかもしれません。

・半夏白朮天麻湯が胆経の症状と関係するとはどこの本にも書いていません。
経絡の流れがわかって、漢方も自由自在に扱う井上先生だからわかることなのでしょう。やっぱり、いつも言うように、漢方を理解するには鍼の知識は必須です。
*足の胆経:顔面-体幹-足の外側面を走行する足の少陽経。片頭痛、脇の痛み、腰痛などに関係する。
スポンサーサイト

【2013/02/27 22:50】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0121.jpg2月××日外来
40代女性
1月から、胃の不調と喉のつまりでかかっている。
すこし太り気味の方
前回は安中散を処方されている。
診察室に入ってくると、顔はややむくんで疲れが見える。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『どうでしたか?』
   「はい」
『胃の痛みはどうですか?』
   「食べないといいんですが、、漢方を飲むといいです。ちょっと詰まった感じがあります」
『よかったことは何もないですか?休んでくれる』と腹診のために横になってもらう。

『安中散にしたんですが、もうちょっと帰脾湯とか気を晴らす薬にしたほうがいいかもしれんね。』とサントに説明してくれる。
『どっちかというと神経使っちゃうよね』
   「ウッフッ」と、患者さんは小さく笑う。
   
腹診をしながら『どうしても下腹に瘀血があるもんだから。瘀血を取れるような薬を出すんですが...そうやね、下腹、はっとるよね。』
膻中のあたりをふれると『胸は冷えとるよね』と、胸には冷えを感じます。
『かなり神経的に参っとる?』
『甘麥大棗湯がいいかもしれん。体としては瘀血がある、ガッチリしていい体している。でも、浮かん顔しとるんで...あなたってデリケートな人なんやろ?』と、患者さんに聞きます。
患者さんは「ええ」と、少し当惑して答えます。

『ちょっと体にきくので教えてね』ここで言霊診断をはじめました『今から、この前のんだ薬は、安中散を飲みました...甘麥大棗湯を飲みました...甘麥大棗湯を飲んだらどうなると、思ってくれればいいよ。目をつぶっていて、体に聞いているからね。そうやね、このほうが楽やね。頭すっとしてきたね』
『今ね、飲んでもらうからね。かなりデリケートだよね』

   「ウッフッ」と患者さんは小さく笑います。当たっているようです。
確認のためにもう一回、言霊診断をしました、『それとね、帰脾湯を飲んだ...それとも、甘麥大棗湯を飲んだ...こっちがやっぱり楽やね』
そして患者さんには甘麥大棗湯を1包飲んでもらいました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10分後に入ってもらうと、『先より落ち着いたね』井上先生は、患者さんを見ただけで気の変化がわかります。
  「はい」
『あのね、神経疲労の薬を出す。体は丈夫なんだけど、敏感に受け取りすぎとるんかな。』
  「はい」
『まず、このくすりを出すでね。神経が落ち着いて胃の痛みを感じんような薬にしとくでね』
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
そして今回は、甘麥大棗湯を処方しました。

井上先生のコメント
・『体は安中散のからだしているけど、目がうつろ。胃が痛いので、身体的には建中湯か安中散か、でも瀉剤はだめだよね。でも、何となく顔がボワーっとしていたよね。ボワーっとしているときは甘麥大棗湯か帰脾湯が合う。一見、体が丈夫で瘀血があって、瘀血の薬を使っても効かん時は、甘麥大棗湯だけにするといいことがある』と、教えてくれました。

・その、ボワーっとしていて虚ろな顔つきのときはどんな漢方がいいのですか?と聞くと『甘麥大棗湯、帰脾湯、それか人参養栄湯かな』と、答えてくれました。

・甘麥大棗湯と帰脾湯の違いは?と聞くと
『泣き出しそうなのが甘麥大棗湯、帰脾湯は気の滞りだから口がネバネバして、胃が支えている。考え過ぎは一緒だけどね。』
 また、一言でいうと『甘麥大棗湯は胸が冷えとる、帰脾湯は胸が詰まっとる』と、答えてくれました。この鑑別方法はすごいです。両方の漢方の特徴を一言で言い表しています。


【2013/02/26 23:15】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0111.jpg
2月××日外来
40代男性
寝汗があり、体がかゆいという主訴でかかっている。
今回は風邪を引いて来院する。
マスクをして診察室に入ってくる
やややせ気味の方
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
   「2月から風邪を引いて、一回治ったんですけど、またこじらせて、昨日ぐらいから...」
『夜何時に寝ている?』
   「大体10時か11時ごろには」
『横になってくださいね、お腹たくさん出してください。』
『食べるものは?夕飯どんなものを食べている?』
   「最近、飲む機会が多かったので...」
『あなったって、腸が弱いね。これは腸が弱いお腹やね。』見ると、おへその周りが少し盛り上がっている。
『腸をいたわってあげないといかんよ。だから夜遅かったら、食べないとか』

『舌出してみて』風邪で熱があるのか、舌は赤い。
『建中湯を出したり補中益気湯を出したりしている方ですが』とサントに説明してくれる。

腹診をすると『両方の腹直筋に緊張がありますね。』またよく見ると、冷えるのか心窩部のところにカイロを貼っている。触らせてもらうと、腹は冷えていて少し動悸も感じる。
『前回は補中益気湯を出したんですが。その前は黄耆建中湯と大建中湯をだしたんですが。』と今までの治療を説明してくれる。

そこで言霊診断を始めました。『ちょっと体に聞きますね。じゃあ、清暑益気湯を飲んだ...補中益気湯を飲んだ...それとも、補中益気湯と大建中湯を飲んだ...あまりよくないね。じゃあ、黄耆建中湯と大建中湯を一緒に飲んだ...口のネバネバはこれがいいね。やっぱり、前に、もどしたほうがいいみたいね。』
今回は最初の処方が気の流れがいいようです。
『お酒は無理に付き合わなくてもいいんだよ。自分を大事にせんといかんよ。腸を大事にせんとね。』
   「ありがとうございました」
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
そして今回は元に戻して黄耆建中湯と大建中湯を出しました。

井上先生のコメント
・建中湯にしたのはどうしてですか?と聞くと
『両方の腹直筋が緊張してる。手がほてりすぎやね。』
そして、疲れがあって、腸が弱くて寝汗をかいているので、黄耆建中湯になったのでしょう。

・井上先生の《桂枝湯類の活用》では『建中湯類の使用目標:桂枝湯類の使用目標に加えて・虚労・手足煩熱・腹が突っ張っている・腹の動悸』とありました。この患者さんは、すべての所見がそろっていました。

・同様に《桂枝湯類の活用》には『黄耆建中湯について:小建中湯に黄蓍を加味した処方。黄蓍は皮膚の栄養を助け、寝汗を止め、肉芽を生じ、化膿を止める作用がある。汗かき、寝汗を目標にアトピー性皮膚炎、中耳炎、蕁麻疹などに用いる。胃腸粘膜をも丈夫にする作用があるため、腹痛、胃潰瘍にも用いる。』とあります。

・補中益気湯に比べて建中湯類があまり使われていないようだと井上先生は仰っています。疲れ=補中益気湯でなく、建中湯類も考慮すべきでしょう。鑑別が難しくなりますが、漢方処方解説【補中益気湯】を見てください。



【2013/02/26 00:17】 | 症例
トラックバック(0) |
041.jpg
041. 補中益気湯

【生薬構成】
人参4、白朮4、黄耆4、当帰3、陳皮2、大棗2、柴胡2、甘草1.5、生姜0.5、升麻1 (g)
*補中益気湯=中を補い気を益すという意味。中は中焦で胃腸のこと。
最も優れた哺気剤として『医王湯』とも言われます。
黄耆は表を固めて汗を止めます。人参は脾胃を補い元気を与えます。柴胡と升麻は引き上げる作用があります、これを升堤作用といいます。

【原典】
金の李東垣の《内外傷弁惑論》

【古典】
浅田宗伯の《勿誤薬室方函口訣》には
『此方は元来東垣が建中湯、十全大補湯、人参養栄湯などを差略して組立てし方なれば、後世家にて種々の口訣あれども、畢竟小柴胡湯の虚候を帯ぶる者に用ふべし。補中だの、益気だの、升堤だのと云う名義に泥むべからず。その虚候と云ふものは、第一手足倦怠、第二言語軽微、第三眼勢無力、第四口中に白沫を生じ、第五食味を失ひ、第六熱物を好み、第七臍に当つて動気、第八脈散大にして力なし等の八症の内、一二症あれば、此方の目的となして用ふ。その他薜立齋がいはゆる飲食労役して瘧痢(ぎゃくり)を患ふ等の症、脾胃虚に因つて久しく愈ゆる能はずだの、龔雲林のいはゆる気虚卒倒中風等の症、内傷に因る者だのといふ処に着眼して用ふべし。前に述ぶる通り、少陽柴胡の部位にありて、内傷を兼ぬる者に与ふれば間違ひなきなり。故に婦人男子共に虚労雑症に拘らず、此方を長服し効を得ることあり。婦人には最も効あり。また諸痔脱肛の類、疲れ多き者に用ふ。またこの症にして、煮たてたる熱物を好むは附子を加ふべし。何ほど渇すといへども附子苦しからず。』とあります。
*建中湯、十全大補湯、人参養栄湯から作ったとあるのでこれらの漢方が鑑別に挙がります。以下参照。
*小柴胡湯の虚証なので、少し肝に熱があって、胸脇苦満があります。
*8つの目標は津田玄仙が《療治茶談》で挙げたもののようです。どの教科書にも載っていて有名です。以下参照。
*痔、脱肛、子宮脱にも引き上げる作用があるので使えます。

【先人】
・中気下陥・清陽不升による諸症状、脾不統血による出血、気虚の発熱 《秋葉哲生:活用自在の処方解説》
・消化機能が衰え、四肢倦怠感が著しい虚弱者の次の症例:夏痩せ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症。《高山宏世:漢方常用処方解説》

【井上流】
・処方構成からすると六君子湯と同じ補気剤で、同時に柴胡剤でもある。黄耆、当帰も配されており補血の効果にも優れており、補剤の王者として医王湯の名がある。しかし、気虚の程度の著しい時は、補気剤の基本である四君子湯を投与し、土台を固めた後に用いたほうが良いことが多い。
1 病後回復の代表的薬方………手術後 放射線治療後 慢性疲労 体調不良
               風邪をひきやすい 風邪が治らない
               夏バテ 虚弱体質 低血圧
2 中気下陥を改善する ………胃下垂 遊走腎 脱肛 子宮脱 便秘
 [内臓下垂]            
3 元気をつける    ………神経症 鬱状態 鬱的気分を払う
  
4 慢性疾患を治す   ………慢性肝炎 痔疾 慢性胃腸炎 気管支炎
               慢性蕁麻疹 湿疹 アトピー
=使用目標=
A 眼に力が無い 語尾がはっきりしない 疲れやすい 前屈みの姿勢 胃腸虚弱、痩せ
B 発汗しやすい 寝汗 微熱 口渇 口唇赤 乾燥 舌白苔 口臭 
C ほっそりとした体つきで色白が多い 油もの、くどいものを嫌う
D 軽い胸脇苦満 心下虚 内臓下垂 臍周囲膨満 《以上;柴胡剤の活用法》

・六君子湯証との鑑別:六君子湯は気を下げて、軽く熱を取る(身熱が軽い)、補中益気湯は気をあげて、身熱を取る(身熱が明瞭)《柴胡剤の活用法》

・清暑益気湯との鑑別:両方とも夏バテに使うが、清暑益気湯は、口渇、手のほてり、胸が熱<胸苦しい、尿の色が濃いなど、身熱心煩症状が著しい。足三里の圧痛、両臍傍の天枢辺りの圧痛などを目標にする。補中益気湯は胸脇苦満、右背部(肝臓部の)膨隆などを目標に用いる。 《夏バテの一般的漢方治療》

・十全大補湯との鑑別:十全大補湯は、全身の衰弱、疲れやすさ、微熱、自汗、皮膚の枯燥、胃腸虚弱が目標。補中益気湯のように胸脇苦満がない。《気血両補剤の活用》

・小児では、身熱(口が臭い・目やにが出る・舌に白苔・舌先が赤い・口内炎・発疹)を目標に用いる。急性発疹性疾患・風邪熱がなかなか取れない時・気管支炎・蕁麻疹・アトピーなど。極めて使いやすい柴胡剤。長引く風邪、蕁麻疹、アトピーなどに使用の機会が多い。《小児科領域の漢方治療》

・建中湯類と補中益気湯の鑑別が難しいことがありますが、井上先生によると『夏に布団の外に手足をだして寝る人』は建中湯証だと言っていました。
もちろん、言霊診断やPTMができれば鑑別に困ることはありません。

【Dr.サントのコメント】
*以下のコメントはあくまで私、Dr.サントのものですので私に文責があることを断っておきます。
・津田玄仙の8つの目標はあまりにも有名ですが、ほとんどが気虚を表す症候なので補中益気湯に特徴的ではなさそうです。建中湯、十全大補湯、人参養栄湯でも同様な症候があります。あえて言えば、⑤味がわからない、⑧脈が芤脈の2つが特徴的です。右の関上の脈で一見力があるが押すとぺこっとへっこむ場合に効く印象があります。

・あくまでサントの印象ですが、疲れを訴える方は、補中益気湯証より建中湯証の患者さんがはるかに多いと思います。この点は、井上先生の外来を見ていてもそうです。疲れがあれば=補中益気湯と、いうのではなく、きちんとした鑑別が必要です。津田玄仙の8つ目標が、ある意味、混乱の原因になっているような気がします。

・井上先生の言うように身熱があって、胸脇苦満があることがもっと注目されてもいいとおもいます。サントの印象ですが、補中益気湯は比較的新しいストレスと戦って疲れがたまっている状態、ストレスと戦っているので身熱がある。建中湯はもっと古くからの疲れが体にあって虚労という体質に近いものになった状態、そんな印象を持っています。

・十全大補湯は川芎が入っているので別の意味で瀉的効果があるようです。

・人参養栄湯については別に書いていますので見ていただければとおもいます。

・当院に両耳の難聴と耳鳴りで通院中の30代男性ですが、疲れがあって、下半身が重たい、というので補中益気湯を処方したら、飲んだ直後にカアッとほってて耳鳴がきつくなったと言われたことがあります。現在は女神散で落ち着いています。この例で、補中益気湯が気を上げる効果があることがハッキリとわかりました。敏感な患者さんの話をよく聞くと漢方の作用がよくわかります。

【症例にリンク】
症例1. 


【2013/02/24 23:30】 | 漢方解説
トラックバック(0) |
IMG_0112.jpg2月××日外来

40代女性
少し前から頭痛や疲れでかかっている
やや太り気味のガッチリした女性
マスクをして顔が少し赤い。
前回は香蘇散が出ている。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『いかがですか?』
   「なんだかちょっと寒気がして、風邪はひいていないんですけど、喉もかゆいんですが」
『アレルギーがあるんですね』
『この前は香蘇散をお出ししたんですが、いかがでしたか?』
   「あれはよくて、疲れが取れる感じでした」
   
『少し横になってくださいね』と、腹診のために横になってもらう。
腹診をしながら『便秘がちになってきた?』と聞くと、
   「どっちかというとそうですね」
『下腹張ってきているね、便秘があるね。春だから体が変わるでね。』
井上先生は、左右の血海のツボを触りながら『こっち(左)触った感じとこっち(右)触った感じでどうですか?』と聞くと、
  「右のほうが痛いです」と、患者さん。
『瘀血あるよね』井上先生は右の血海の圧痛と瘀血は関係すると言っておられます。
サントも腹診をさせてもらうと、下腹部にしっかりした瘀血を感じました。
『今の薬を、ちょっとずらしたいと思うので、それで花粉症の薬にもなるので。』と、患者さんに説明されます。

そこで言霊診断をしました。『まず、香蘇散を飲んだ...そして、芎帰調血飲を飲んだ...芎帰調血飲を飲んだと思と、、背中温かくなるね。』
   「はい」
『これでいいね。芎帰調血飲、真武湯、芎帰調血飲で出してみます』
   「あの、いま生理前か、胸が少し痛いんですが」
『それも芎帰調血飲で取れるよ、あのね、瘀血と言って、女性生殖器がうっ血している状態も取れるので。』
『あと、食べ過ぎになっていると思うので、無意識に、そこを気を付けてくれるとアレルギーも軽くなるよ』
   「ありがとうございました」
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
そして今回は芎帰調血飲を処方されました。

井上先生のコメント

・香蘇散と芎帰調血飲は似ているのですか?と聞くと
『芎帰調血飲は香蘇散の発展処方です。香蘇散が合う人で瘀血が出れば芎帰調血飲。』
この点はピンと来なかったのですが、生薬構成を調べると、両方とも香附子が入っていて、気をめぐらす作用が強いので共通するのですね。

・体ががっちりした方だったので芎帰膠艾湯かなと思ったのですが?と聞くと
『一般的に、ガッチリした人が芎帰膠艾湯に多いんですが、この方は香蘇散があってて、生理前にお乳がはって、血海に瘀血があったので芎帰調血飲にしました』
確かに、芎帰膠艾湯の生薬構成と、芎帰調血飲の生薬構成をみると、芎帰調血飲には牡丹皮、益母草が入っているので駆瘀血作用が強力です。
*芎帰膠艾湯:当帰、川芎、芍薬、地黄、甘草、艾葉、阿膠
*芎帰調血飲:当帰、川芎、地黄、白朮、茯苓、甘草、生姜、大棗、陳皮、香附子、烏薬、益母草、牡丹皮

【2013/02/23 00:16】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0108.jpg2月××日外来

40代男性、新患。
疲れやすいという主訴で来られる。
潰瘍性大腸炎がありアサコールを飲んでいる。
やややせ気味の方で顔が少し火照っている。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
   「疲れやすくてきました」
『口は乾きますか?』
   「めちゃめちゃ乾くという訳ではないです」
『潰瘍性大腸炎は落ち着いていますか?』
   「落ち着いています」

『横になってください』と、腹診のために横になってもらう。
腹診をすると腹部がやや虚していて力がない。
『疲れやすいお体していますよね』
   「この1年ぐらい疲れやすくて」
『夢見ますか』
   「そうですね、どちらかというと多いです。寝つきが悪いんですよ。朝ごはんを食べると眠くなります。」
腹診をすると、へその周りが冷えている。また、右の肝の背中側の流れが悪い。
『冷えていますね。どちらかというと肝に滞りがありますね』

『今から実験しますよ。』ここで言霊診断を始めました。『私たちの体は肉体だけの存在ではないので、薬の名前を聞くだけで、体が変化しますので、ちょっと実験しますよ。小建中湯を飲みました...小建中湯...人参養栄湯を飲みました...背中はこっちがいいね。これから初めて、次に建中湯にするかな。』
人参養栄湯が流れがいいようです。
『心と体の疲れを取りまして、それから本来の薬に行ければと思います。今から飲んでいただいて、体がどうなったから教えてください。』
そこで人参養栄湯を1包飲んでもらいました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10分後に再度診察室に入ってもらいました。
『どうでしたか?』
   「不味くなかったです。飲みやすかったです」
『ちょっとスッとされましたね。これで行きます。落ち着かれたらもう少し薬を考えますよ。』
   「ヨーグルトとか果物を毎日食べていたんですよ。これ、よくないんですね。」待っている間に、食事指導を受けられて自分の食事の問題点がわかったようです。
『東洋医学の考え方がありますので、いちどやってみてください』
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
そして、今回は人参養栄湯を処方されました。

井上先生のコメント
・サントが潰瘍性大腸炎には何を使うのですか?と聞くと
『潰瘍性大腸炎には建中湯が多いです。帰耆建中湯が圧倒的に多い。世間では、柴胡とかいっているけど、建中湯が多いよ』
今回は、本来の建中湯に持っていく前に、準備として人参養栄湯で心身の疲労をとるようにしました。

・サントの感想ですが、ヨーグルトが潰瘍性大腸炎にいいのか悪いのかいろいろ意見があるようです。しかし、腹診で腸が冷えているのは間違いないので、腸に悪影響を与えている可能性はあります。こんな時は一時やめてみて体の反応を見るに越したことはありません。




【2013/02/21 23:33】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0108.jpg2月××日外来

30代女性
不妊、腰痛で1月から受診している方。
顔が少しむくんでいるように見える。
前回は温経湯と真武湯が出ている。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『どうですか?』
   「足首が冷える」
『よかったことはあった?』
   「腰痛が軽くなりました」
『それはよかったですね、ちょっと休んでくれる』腹診のために横になってもらいました。

『お通じは?』
   「お通じはもともといいので」
『この方は温経湯タイプ...』と、サントに説明してくれる。

『あのね、三陰交というところにお灸するといいのね、体温まるでね』
   「そうですか」
『あまいものとか、ジュースとか、ヨーグルトとか、果物とか控えてね。見てると、口の周り、食べ過ぎが表れているので。一口控えたらいいよ、一口で体変わるよ』
   「かわるんですか」
『口乾くけど、お腹嫌がっているので。ジュース控えてね』
腹診をすると、下腹部にしっかり瘀血がある。手も火照っていて、口の周りも乾いているようだ。典型的な温経湯タイプのようです。
   「はい、食べるのへらします」
『この薬合っていると思うので。同じ薬で行くでね』
   「はい」
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
今回も、温経湯と真武湯を処方されました。

井上先生のコメント

・『瘀血があって、手が火照って、口が渇いて、足が冷える。温経湯タイプは足首が冷える。レッグウォーマーをはいている人には温経湯タイプの方がいる。』この患者さんはレッグウォーマーをはいていました。
三陰交は下腹部の瘀血をとるツボなので、温経湯タイプの人には、ここのお灸がいいのですね。
*三陰交:足首の内果尖の上方3寸にある脾経のツボ。脾経、肝経、腎経が交差する。

・井上先生の書かれた文献には
『桂枝茯苓丸でうまくいかなければ、桂枝茯苓丸と同じ駆お血剤であるが温性駆お血剤である温経湯を頭に浮かべる。でっぷりがっちりした体つき、のぼせて生理前に乳房の張りや下腹の張りを訴える人で、広い年代の月経障害、PMS症状、便秘、花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎、主婦湿疹、高血圧、腰痛などに用います。キーワードは「のどの渇き」「手荒れ」』と、書かれています。

・温経湯タイプの下腹部の瘀血は、サントの印象では、当帰芍薬散や加味逍遙散にくらべて、しっかりした大きな瘀血
のように思います。



【2013/02/20 23:00】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0105.jpg2月××日外来
40代女性
前から通院している方。
足に霜焼けができたという。
髪の長い、やせ気味の女性。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『どうですか?』
   「気持ちの上では元気なんですけど、だいぶ前から、霜焼けが足にできていて」
『ぐっすり寝れていないよね』みると顔が軽くのぼせて、幾分やつれている。
   「1週間前から、鼻とくしゃみがひどく、鼻血をだして、耳鼻科にいってアレルギー性鼻炎の薬が出たんですが...」

横になってもらって腹診をすると、腹は虚している『胃腸はあまりお丈夫でないわよね』

『2,3、口で言うから教えてね。』ここで言霊診断を始めました。
『この前出した薬は香蘇散です。香蘇散を飲みました...、じゃあよ、人参養栄湯を飲んだと思って...人参養栄湯を1日2回飲む...と、鼻のとおりがいいやろ。』
   「鼻の奥が開いていく感じがある、つまりが消える感じ」と、患者さんも気の流れがわかっています。
『そやね、これ免疫力高まって、霜焼けにもいいよ』
   「そうですか」

『ちょっと今飲ませてあげるからね』
と、その場で1袋飲んでもらいました。
   「霜焼けは15年ぶりなんですが、体調があまりよくないので...」
そして、待合室で待ってもらって、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10分後に入ってもらう。
   「背中のツッパリが消えてきました」と、患者さん。
『そうね、スッとしたね』と、井上先生は見るだけで気の変化がわかります。
   「声が出ます。さっきは声がカラカラだったんですが。』
『心身疲労の薬を出しておきますよ。免疫力を付けるので霜焼けにもこれがいいよ。』
   「鼻血もおさまりますか?」と、患者さんは、まだ心配されています。「家のごたごたがが治まったら、自分の霜焼けに気が付いて...」
『大丈夫ですよ、これで。』
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
そして今回は人参養栄湯を処方しました。

井上先生のコメント
・霜焼けというと当帰四逆加呉茱萸生姜湯ですが、人参養栄湯もきくのですか?と聞くと『最近、霜焼けも人参養栄湯なんですよ。現代は変わってきたんですよ。ある人がこれで治ったって言ってくれたんですよ。胃腸虚弱タイプで、神経使いすぎタイプの冷え性で霜焼けに効く』

・ちなみに、当帰四逆加呉茱萸生姜湯については、井上先生は、
『若い女性の冷えのぼせ』に使います。
 目標としては『手足の厥冷、尿意が近い、冷えに敏感、肩凝り、のぼせ、人込みに酔いやすい、イライラ、クヨクヨしやすい、目のしょぼつき、頬がほんのり桜色。体が冷えて、頭でっかちとなった現代人にうってつけの薬方で幅広い疾患に応用。ことに若い女性に対しては、ファーストチョイスとして使用。』
『左のこめかみの痛み、左の側腹痛、左の厥陰の症状』が特徴と言っておられました。

・この患者さんも、お家のことで神経をすりへらして、疲れ、やつれ、心労が目立っていました。こんな患者さんには当帰四逆加呉茱萸生姜湯より人参養栄湯が効くのですね。


【2013/02/19 22:54】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0129.jpg005. 安中散
【生薬構成】
桂皮4、延胡索3、牡蛎3、茴香1.5、甘草1、縮砂1、良姜0.5(g)
*延胡索は経を通じ痛みを除く、牡蠣は酸を中和する、茴香は健胃鎮痛作用、
縮砂・良姜は芳香性健胃薬

【原典】
北宋時代の《太平恵民和剤局方》

【古典】
・浅田宗伯の《勿誤薬室方凾口訣》には
『此方は世上には澼嚢の主薬とすれども、吐水甚だしき者には効なし。痛み甚だしき者を主とす。反胃に用ふるにも腹痛を目的とすべし。また婦人の血気刺痛には、澼嚢より却つて効あり。』とあります。
*澼嚢(へきのう):胃拡張に相当する病態、*反胃(ほんい):嘔吐を起こす胃病、*血気刺痛:瘀血による刺すような痛み。
これから生理痛に有効なことがわかります。

【先人】
・やや虚状を帯びて、慢性に経過した心窩部の痙攣性疼痛に用いる。《矢数道明:漢方処方解説》

・胃弱、冷え症/心下痞と圧痛/胃痛(空腹時)/甘いものを好む 《高山宏世:漢方常用処方解説》

・胃痛だろうが、生理痛だろうが、腹痛一般に効くことである。単なる胃の薬には留まらない。《秋葉哲夫:活用自在の処方解説》

・冷え症で胃アトニータイプの者の次の諸疾患、すなわち①胃十二指腸潰瘍、②慢性胃炎・胃酸過多症。いずれも心窩部の持続性疼痛を目標に用いられる。《桑木崇秀:漢方診療ハンドブック》

【井上流漢方】
・芳香性健胃薬ですが構成生薬に延胡索(エンゴサク)という軽い温性駆お血薬が配されています。一般的にはやせ形で胃腸虚弱タイプなのに甘い物などを好んで食べ過ぎ、胸やけ、胃痛を訴える人の生理痛にも良く用います。《攻撃剤の使い方:清熱瀉下剤を中心に》

・今日の日本人は想像を超えて虚弱化していますので、お血に因る生理痛に対して桂枝茯苓丸、通導散、温経湯などを投与してもなかなか良くならなくても、脾胃を養う効果の高い、軽い温性駆お血剤である安中散などを投与すると生理痛が良くなることが多いのです。《私の漢方のきかせ方(5)》

・現代人のための桂枝茯苓丸と言える。

・顔面の胃経のところにでるニキビには安中散が効く。

・皮膚がガサガサで、瘀血があって、甘いものが好きな女性が安中散の適応です。
動悸があり寝れない人に安中散を使われたこともあります。牡蠣があるので安定するといわれました。

【Dr.サントのコメント】
・安中散の「中」は「中焦」のことで腹部を指します。だから腹を安んじる薬と言えます。これから、胃、腸、子宮、卵巣、さらには骨盤内臓器全般に働くと思われます。

・現代では胃炎、胃潰瘍に対してはPPIがファーストチョイスとして使われますので、安中散の出番はなさそうです。それよりも、井上先生が「現代人のための桂枝茯苓丸」というように、駆瘀血剤としての役割がもっと注目されてもいいと思います。

・サントの経験ですが、統合失調症のかたで安中散で精神症状が安定した患者さんがいます。腹部に瘀血があり、桂枝茯苓丸よりも安中散の方がPTMでよい反応が出たので安中散を処方しました。現在も通院されています。

【症例にリンク】
症例1. 2. 3.



【2013/02/18 20:57】 | 漢方解説
トラックバック(0) |
IMG_0113.jpg2月××日外来

30代女性
ずいぶん前からご家族でかかっておられる方。
1月にインフルエンザにかかってからダルイという
マスクをしている。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『じゃあ休んでください』と、腹診のために横になってもらう
『食欲は有るんですか?』
  「食欲は有りすぎてこまっています」
『生理はどんな感じ?』
  「普通に来て、そんなにもしんどくなく...」
『それはよかったね』
  「おかげさまで」
患者さんには、生理痛がひどいという症状もあったのでしょう。
『あなた落ち着かれたよね、前よりかはね』
  「はい、おかげさまで」

『花粉症はある?』 
  「少しあります、少し風邪気味で、昨日から鼻水と...」
『口、乾く?』
  「痰が絡んで...」
『そんな感じやね、少しね胸に燥熱があるような感じがするね』胸を触ると喉のところが少し熱い。また、マスクを取って顔を見ると鼻の周りが少し赤い。腹は『胃の動きはわるいよね』
『舌出してみて』見ると『舌先かなり赤いね』

『たとえば、清暑益気湯という薬がいいのかな、いまたくさんだしているんですけど。少し弱っているから。口乾いて水分とりすぎている傾向ない?』
そこで言霊診断を始めました。
『今から言葉でいうよ。清暑益気湯を飲みました...真武湯、清暑益気湯を飲む....これで行くか、竹茹温胆湯、真武湯、竹茹温胆湯で行くか...鼻通るのは竹茹温胆湯やね。ちょっとスッとしない?』
ここで竹茹温胆湯を1包飲んでもらいました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10分後に入ってもらいました。
『鼻通ったね』井上先生は患者さんをみた瞬間にわかります。
  「はい、スッとしました」
『これだすでね、真武湯はそのままでね』
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
今回は竹茹温胆湯と真武湯を処方されました。

井上先生のコメント

・原則、竹茹温胆湯は柴胡剤なので、胸脇苦満はあったのですか?と聞くと
『かるくあるかな、かるくね』と答えてくれました。

・竹茹温胆湯は麦門冬が入るので喉のあたりの燥熱がポイントです。
それと、この患者さんは、インフルエンザがこじれて今も風邪気味で啖が出るというので竹茹温胆湯にしたのでしょう。清暑益気湯も麦門冬が入るので、喉に燥熱があってもいい、したがって比較対象になります、今回はこの二つを言霊で鑑別しました。

以下に井上先生の文献から引用します。
・竹茹温胆湯は処方構成上、六君子湯の発展処方である。麦門冬で心肺を滋陰しながら枳実、桔梗、竹茹、黄連で肺熱を冷まし、咳こんで寝られない、咳すると胸の痛み、粘稠な黄色の痰があるのを治すよう意図されている《柴胡剤の活用》
*六君子湯の発展処方なので「胃腸が弱い人」ということと、「胸脇苦満」「喉の燥熱」「痰」がポイントです。

・竹茹温胆湯エキス顆粒は胸脇苦満があり、気管支の痛さ、咳、粘稠の痰が出る時に使用し、効果の高い処方ですが、胃腸虚弱タイプの人には少量で短期間に限る必要があります。《現代の風邪、インフルエンザに対する漢方治療 その2》
*井上先生は柴胡剤を長期に使うことはあまりありません。



【2013/02/17 23:31】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0106.jpg2月××日外来

70代女性
腰部脊柱管狭窄症でかかっている
防已黄耆湯と桂枝加朮附湯で症状はかなり良くなっている
少し前かがみでゆっくり歩いて診察室に入ってこられる。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『この前の126番(麻子仁丸)はどうですか?いいですか』
   「ほしいです、あれ夕食前にのんで、お通じがいい感じです」
『これでいいみたいですね、それではお休みください』
腹診のために横になってもらう。

『脊柱管狭窄症で防已黄耆湯と桂枝加朮附湯がよいと仰ってくださっていたんですが、』と、説明してくれる。

   「花粉症がもうそろそろ出てきたんです」と、患者さん。
『ちょっと考えますね、口は乾きますか?』と、井上先生。
   「あまり乾かないです」
腹診をすると腹が冷えている『ちょっと冷えていますかね。滋陰降火湯にいきたいんですが、お腹見ると冷えとるので、ちょっといかんかな』
足もむくんで冷えている。

『麻子仁丸でやっぱりいいのかな』
『じゃあよ、麻子仁丸をまず飲んだと思ってくださる、』と、ここで言霊診断を始めました『麻子仁丸でよくなる人がいるんですよ、気が動けばね』と、サントに説明してくれる。
『麻子仁丸を飲んだ...と思うと、、、これわりといいよね。胃が温まってくるよね。鼻が通ってくるね...麻子仁丸と防已黄耆湯を一緒に飲んだ...それか、麻子仁丸と真武湯を一緒に飲んだ...こっちのほうがスッとするね。首も腰も流れるね』
後頚部のところを指して『あのね、花粉症はここの流れがよくなればいいので』と、患者さんに説明されました。
『ちょっとね、こんどは花粉症にいいのにしましたのでね。様子を教えてください』
  「はい」
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
今回は麻子仁丸と真武湯を一緒に出しました。

井上先生のコメント
・麻子仁丸というと便秘のくすりですが、便秘以外にも使えるのですか?と、聞くと
『腸間膜動脈の血流をよくするのでお腹があったかくなることがある。胃や腸に作用する。胃腸の血流をよくする。簡単に言うと軽い瘀血をとると思っていい。花粉症にも効くことがある』
少し難しいのですが、私の理解では、動脈硬化があるような老人の胃腸の血流をよくするということだと思います。

・便秘以外にもどんな場合につかえるのですか?と聞くと
『気を動かす薬。お年寄りにはいい、ここの(下腹の正中のあたり)とどこおりを取る。大黄が使える人でないといかんけどね』
麻子仁丸は、下腹部のあたりの任脈と督脈の流れをよくすることができるようです。これは誰も言っていません。ほとんどの医師は「麻子仁丸=便秘の薬」と単純に思っています。
これは難しい。

【2013/02/16 22:03】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0107.jpg2月××日外来
40代女性
夏から体調不良でかかっている
小建中湯で安定していたのが、
この前から蕁麻疹が全身に出で
更に体調が不良になったという。
背の高い人、顔がむくみ気味、声に力がない。
動きも重たそう。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
  「風邪をひいて薬を飲んだら全身にじんましんが出てしまって...皮膚科で薬をもらったんですが、体調がまだ悪くて...まだ蕁麻疹が出ている感じで...」
『あなた、すごい敏感体質なのね。肝虚体質なので小建中湯があっているので、薬がめちゃめちゃ効き過ぎちゃうのよね、肝虚体質は。そんな、とくに病気という訳ではなくてね。』
『だから日常の生活でいろんなことに振り回されんように。安心して。』

   「動くのもしんどい、生理前でお腹も痛いんです。真武湯だけはのんでいるんですけど」
腹診をすると、腹は冷えている。胃も支えて流れが悪い。足もむくんでいる。

そこで、井上先生は言霊診断を始めました『じゃあ、言葉でいうよ。小建中湯を飲みました...じゃあ、大建中湯を飲みました...大建中湯で下腹の痛み取れるで。大建中湯を2袋一緒に飲んだと思ってくれる...ちょっと動悸するか...じゃあ、真武湯と大建中湯を一袋ずつ一緒に飲んだと思ってくれる。真武湯は楽やね。お腹もちょっと違うやろ。30番と100番を一緒に飲んでくれる。』
   「はい」

『そんなにわるくないのよ。敏感体質なだけ。自分の体はわかっとるので、余分なものを飲まない。風邪ひいても寝てればいいのよ。そのぐらいに、おもってていいよ。』
  「はい、ありがとうございました」
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
今回は、真武湯と大建中湯を一緒に処方しました。

井上先生のコメント
・どうして、真武湯と大建中湯にしたのですか?と聞くと
『本当は建中湯、当帰建中湯とか行きたいところだけど、弱りすぎたときは桂枝の入った薬は使わないんです。解表作用のある桂枝で気をめぐらし過ぎると、弱りすぎた人は心臓がえらくなっちゃうのよ。動悸したりする。体調が悪くなりすぎたときは桂枝とか厚朴が入らない薬を選ぶ。それで、真武湯とか大建中湯とか行く。また、顔もむくんでいるので、甘草のない薬となると真武湯と大建中湯になる。』
*真武湯は 茯苓、芍薬、生姜、蒼朮、附子、;大建中湯は蜀椒、乾姜、人参、膠飴

・甘草はどうしてダメなのですか?と聞くと
『いろいろなことをやりすぎていて、温裏剤として四逆加人参湯とか茯苓四逆湯とか使いたい人があるんですけど、かえってむくみがひどくなることがあるのよ。色々やりすぎている人は。みんないっぱい薬を飲んでいて、色々やられている、するとむくみがきつくなることがある。甘草の入らない薬で行ったほうが無難なのね。』
*四逆加人参湯、茯苓四逆湯には甘草が入っています

・『ファーストは裏寒の治療やね。その中で、現代医学でいろいろやられている人は、ステロイドとかで、むくんどるから甘草のない薬で行く。それで真武湯を使う。同時に脾を補うのに大建中湯を使うので、この手はかなり良く使う。お年寄りでたくさん薬飲んでいる方でこの組み合わせをよく使う』
と、教えてくれました。

・裏虚があって建中湯がほしいと思える人にPTMをやると動悸を感じることがあります。そんなときは、建中湯といえども使えないのですね。建中湯類はもっとも弱い薬のような気がしましたが、桂枝が入っている分そうでもないようです。井上先生が真武湯をたくさん使う理由の一つがわかります。



【2013/02/14 22:37】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0109.jpg1月××日外来
40代女性
冷えなどでかかっている方。
背が高くてやせ気味。
火照るのか、顔が少し赤い。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『調子はいかがですか?』
   「足がすごく冷えるんです」
『よく甘麥大棗湯と真武湯をよく出しているんですが、横になってくれる』と、横になってもらう。顔が赤く火照っているので『ちょっとのぼせすぎとるね』と、井上先生。
   「足湯なんかしても1時間ぐらいすると、冷たくて」

腹診をしながら『あのね、胃がやっぱり動いとらんね』
   「そうですか」
腹診を続けながら『前より丈夫になったかな、腹直筋がはっとるね、ここ』腹直筋が、以前より突っ張っている。『相変わらず胸は冷えとるね』でも、胸には冷えはあります。
『舌出して』見ると少し舌質が赤い『かなり熱持っとるね』
『なんかちょっと変わってきているので、、便秘の方?』
   「このところ4日ぐらいないですね」
『これを何とかしないといかんね』腹直筋のツッパリを触りながら仰る。

そこで言霊診断をしました『まず、甘麥大棗湯だけ飲んだとおもって...あなたの大好きな甘麥大棗湯だけ飲んだと思ってくれる...これわりとスッとすんだけど。甘麥大棗湯と小建中湯を一緒に飲んだ...』すると、患者さんが「肩が楽になってきた」と言います。この患者さんは気の流れがよくわかる方のようです。『そうやね、頭ちょっとスッとしてきたね』と、井上先生も言います。
   「背中が楽になって来ました」
『うん、楽になってきたね。こうやって行くわ。お通じもつけるしね。』
   「うん、うん」
『前は甘麥大棗湯と真武湯にしたけど、今年は甘麥大棗湯と小建中湯にするわ。これで様子教えてくれる』
   「わかりました」
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
そして、今回は甘麥大棗湯と小建中湯にしました。


井上先生のコメント
・熱が出てきたんですか?というサントの質問に対して
『腹直筋が過緊張しとる。芍薬の入った薬がいる。なんにせよ、真武湯の場はあまりない。それで次のステップの、甘麥大棗湯と小建中湯にしたのね。あの人は甘麥大棗湯がずっといる人で、それで小建中湯と組み合わせになった』

・真武湯は「冷え」と「むくみ」と「内臓下垂」ですがこれがあまりなかったようです。特に口に熱を持ってきたら真武湯を変え時だと仰っています。今回は、春が近くなり、患者さんがぼせて熱を持ってきたので、真武湯を中止としました。

・小建中湯には芍薬が入り、腹直筋が緊張して、軽く火照り、手足に汗をかき、虚労の人に使います。井上先生は、甘麥大棗湯+真武湯、甘麥大棗湯+小建中湯の組み合わせもよく使われます。
真武湯は少し肝を補う意味がありますが、小建中湯は補う力がさらにあります。だから『前より丈夫になったかな』と井上先生は言っています。患者さんに力が出てきたので、少し力のある漢方をだしてもいけると判断したのです。


【2013/02/08 23:35】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0101.jpg1月××日外来

70代女性
膝が悪くて昨年、4回手術したという
膝の痛み、腰痛、しびれで漢方治療を受けている。
身体は小さく、腰も曲がって、歩き方も不安定。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『どうですか?』
   「ちょっと早めに来たんですけど。」と、声は小さい。
『膝の手術されたんですけど、調子が悪いのね、漢方でお役にたつ薬を出しているんです』と説明してくれる。
  「それで、なんとか、我慢できるようになったんですが」と、患者さん。
『休んでくださる』と、腹診のために横になってもらう。仰臥位になっても膝が伸びていない。
膝を触ると腫れていて、少し熱がある。

  「痛くて痛くて、ついどうしても...」言葉も聞き取りにくい。
腹診をしながら、『ちょっと胃がつかえているので、だから、簡単に大防風湯にするか人参養栄湯にするかやね』
  「足が、毎日、こむら返りになる...」と、苦しそうに話される。

『それじゃ言葉で言いますのでね、』と、井上先生はここで言霊診断を始めました『大防風湯を飲みました...これはいいので、人参養栄湯...より、大防風湯がいいので、、次のスッテプの薬を出させてもらいますので、』と、説明する。前回は真武湯が出ている。

  「足がこむら返りがつらくて...」と、こむら返りにも患者さんはこだわっている。
『それにも効く薬ですよ』
そして、その場で、大防風湯を1袋飲んでもらいました。
『まだ、お体元気なので、治る力あるで、もうちょっと頑張ろう』
  「そうでか、うれしい、先生。もう少しこの苦しみから逃れたいと思うので...」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10分後にもう一度入ってもらい、『お薬どうでした?』
  「おいしかったです」
『気の流れいいものね』井上先生はみただけで気の流れがわかります。
  「背中があったかくなってきました」
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
そして今回は、大防風湯を2週間処方しました。

井上先生のコメント
大防風湯について井上先生が以前言われたのをまとめると。
・冷えを取る十全大補湯のような薬。気血両補剤。附子が入る。杜仲もはいり補腎作用がある。

・八味地黄丸を出すような人で冷えがあるときに使える。八味地黄丸より使いやすい。

・疼痛疾患では桂枝加朮附湯より老人に向いている。

・膝関節が痛い時に防已黄耆湯は胃が強くないとだめ、その時にこれを使う。

・鶴膝風に特にこだわらなくてもよい。リュウマチにも効く。


【2013/02/07 21:51】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0097.jpg1月××日外来

50代女性
体調不良で、足がつったり、
汗が多量に出て倒れることがあるとの
主訴で1週間前に初診となっている方。
背の高い女性。声が小さい。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『体調はどうですか?』と、井上先生。
   「生理になってて、そのせいだと思うんですが、体調は少し良くないんですが...」と、患者さん。
『この漢方飲んでよかったことは何もなかった?』
   「胃がちょっと楽になったと思うんですよね、」
ふと首を見ると、『甲状腺はどうですか?あのね、左の首のここが腫れとるね』
首の前部の左のところが膨れている。『悪性ではないと思うんだけどね、休んでくれる』、腹診のために横になってもらいました。

『生活気を付けてくれた』
   「はい、11時前後に寝るようにして、牛乳とヨーグルトは摂取しないようにして、暖かくしています」
『いま、血液検査するのはどこでやってもらっている?、ちょっと甲状腺もやってもらったほうがいいんじゃないかね』甲状腺腫瘍の可能性が出てきたので、検査を勧めます。
『舌出してくれる。口かなり乾くね』舌に粘りがある。
『この前は、四逆加人参湯で行ったんですが、』足を触りながら『足が冷えてむくんでて、口が渇いているんで、甲状腺の関係もあるかもしれないので、たとえば真武湯生脈散にするとか...』と、サントに説明してくれる。

『今あなたの体は普通の人より少し、バランスがずれていると思うので、煎じ薬でもいいかな。やっと、わかったのは、甲状腺の状態がすこしよくないということがわかった。そっち良くすると、体楽になると思うので...』と、患者さんに説明する。
   「甲状腺の血液検査をしてくださいといえばいいんですか?」と、患者さん。
『甲状腺が腫れていると言われたのでって、向こうの先生にそうやって言ってみて。』

そこでいつもの言霊診断をしました。『じゃあ、目をつぶっていてね、真武湯生脈散を飲みました...附子が1gの真武湯生脈散をのみました...附子が0.5gの真武湯生脈散より..1gやね。こっちやね。』
附子が1gの方が気の流れがいいようです。
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
患者さんには甲状腺の検査を受けるように言って、今回は、附子が1gの真武湯生脈散を処方しました。

井上先生のコメント
・『体が冷えて喉に燥熱があるね。足がむくんでいて、だから、真武湯生脈散にした』
井上先生は甲状腺機能更新、機能低下ともに、真武湯、真武湯生脈散をよく使います。甲状腺の井上流漢方についてはまたの機会に書く予定です。

・最初に四逆加人参湯にしたわけは?と聞くと
『四逆加人参湯は一遍のませたのね、飲ませてそして次を待った、どれがはっきりするか。裏寒ははっきりしとったので、燥熱があるなら燥熱がはっきり出てくるしね。わからん時はよくやる、次に証がはっきりしてくる。汗が出て倒れるような人でしょ、だから茯苓四逆湯ではいかんのね、気を下げるので。もしエキスでやるなら、人参湯と真武湯でやる。この人の場合は、喉の燥熱が出てきて、はっきりと甲状腺が腫れているのがわかってきたのね。』

・前の時は甲状腺の腫大はわからなかったのですか?と聞くと
『前は、わからんかった。本当の証がでてきたので、アァこれだという感じ。ややこしそうな人は、裏寒があればあっためればいい、だから1週間にした。様子を見てて何が出るかまっとればいい』
何かわからない時は、適当な漢方で、”証をあぶりだす”というのです。
これもすごいやり方です。

・『みんな、初めから、ゴチョゴチョ出しすぎておかしくなっとる。あれだけの、愁訴がある人は、一遍に勝負はできんよ』
「証」の出現を待つということも、漢方の治療では大事なのですね。四逆加人参湯のように、そのために使う漢方もあるのです。また、「証」が出れば、今回のように真武湯生脈散一本で勝負に出る。大した勝負師です。

【2013/02/06 23:41】 | 症例
トラックバック(0) |
108'108. 人参養栄湯
【生薬構成】
地黄4、当帰4、白朮4、茯苓4、人参3、桂皮2.5、遠志2、芍薬2、
陳皮2、黄耆1.5、甘草1、五味子1(g)
*十全大補湯から川芎をとって、五味子(収斂、鎮咳)、遠志(補心)、陳皮(理気、化痰)を加えたもの。したがって、十全大補湯の気血両補作用に心肺を補う作用が加わったものといえます。

【原典】
北宋時代の《太平恵民和剤局方》

【古典】
・浅田宗伯の《勿誤薬室方函口訣》には
『此方は気血両虚を主とすれども、十補湯に比すれば遠志、橘皮、五味子ありて、脾肺を維持するの力優なり。三因には、肺と大腸と倶に虚を目的にて、下痢喘乏に用ひてあり。万病ともこの意味のある処に用ふべし。また傷寒壊病に、先輩は炙甘草湯と此方を使ひ分けてあり。熟考すべし。また虚労、熱ありて咳し、下痢する者に用ふ。』とあります。
*十補湯:十全大補湯のこと。 *三因:宋の時代の《三因方》のこと。 *肺と大腸と倶に虚:肺と大腸は表裏の関係にあります。 *喘乏:喘息様の呼吸
【先人】
・毛髪脱落し、顔色光沢なく枯燥、心悸亢進、不眠、健忘症などを目標にして用いる。病後の衰弱、産後の衰弱、結核症の衰弱などに応用する 《矢数道明:漢方処方解説》
・虚弱、衰弱者/四肢倦怠、虚熱/息切れ 《高山宏世:漢方常用処方解説》

【井上流漢方】
・表に表れていない身体の虚弱、心の虚弱を目標に用いると良いと思います。
一般的に虚弱老人や病み衰えたひとの不眠などに使用する機会が多いのですが、
中年のがっしりとした身体のひとにも使用の機会があります。

・人参養栄湯は身体が衰え、一人暮らしとなったりして、先行きを心配しやすい、神経過敏となっているご老人の健康保持のための薬として、今日、使用の機会が多いのではと思います。

・慢性関節リウマチの漢方治療は今まで、附子の配された大防風湯や、補血剤である四物湯脚気加減、利水剤である防巳黄書湯加減などをよく投与してきたのですが、人参養栄湯が効くケースが最近、特に目立ちます。免疫力を高める効果が高いためと思われます

・人参養栄湯使用のコツ:身体が疲れきっている。神経衰弱になっている。生活や環境に因る身体の深いところからの疲れ。老いさらばえた顔 病みつかれた顔。 顔に艶がなく、シミや皺が目立つ。

・上の先人の一般的な使い方以外に、湿疹、アトピー、シェーグレン症候群、夏バテ、などにも効く。《以上、井上先生:人参養栄湯の臨床応用》

・最近の霜焼けは、当帰四逆加呉茱萸生姜湯より人参養栄湯が効く《H25.2.14》

【Dr.サントのコメント】
・不眠を訴える患者さんの、鑑別にいつも考えています。酸棗仁湯が教科書的ですが、人参養栄湯が多いと思います。PTMで鑑別は簡単です。

・寝違による首の痛みに麻黄附子細辛湯をだして首はよくなったのですが、1週間飲ませて不眠がおこった患者さんに人参養栄湯がよく効きました。麻黄による心の衰弱によいようです。

・サントの最近の症例ですが、美容師さんが散髪中にお客さんから話しかけられると胸が苦しくなると言ってこられました。会話も接客サービスなので困ります。よく聞くと、高血圧があって、別のところで積雪草、大柴胡湯、竜胆瀉肝湯、冠心2号の合方を処方されていました。確かに血圧は10程度下がっているのですが、心虚の状態でした。飲んでいる漢方をやめてもらい、人参養栄湯を処方しました。3日後に再診されたのですが、胸の症状はなくなっていました。上の例もそうですが、漢方薬の副作用に人参養栄湯はいいような気がしています。

【症例にリンク】
症例1. 2. 3. 4.


【2013/02/05 23:21】 | 漢方解説
トラックバック(0) |
IMG_0100.jpg1月××日外来

40代女性
肩こり、ボーっとする、不安感、などで11月からかかっている方。
背が高く痩せている方。
顔がやや浅黒い感じがある。
声に力がない。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『いかがですか?』
   「めまいが時々あるんです、たまに、点滴打ったりしているんですけど。つかれてぐったっときたらめまいがする」
『休んでくれる』腹診のために横のなってもらう。
   「花粉症があるんで、花粉症の薬もいただきたいんですが」
『今出している薬も花粉症の薬になるんだよ』、前回は苓桂朮甘湯と真武湯を出している。
   「そうですか、かなりひどいんで」
『生活気をつけるんだよ、早く寝る、温かいもの食べる、果物とか取りすぎないで』と、井上先生
腹診をしながら『首の後ろ重いね』
   「重いです」
『内臓が下がっとるしね』また、腹診をしながら言う。

『半夏白朮天麻湯も考えないといけないかね。お顔がちょっときついからね。天麻が入る。肝の高ぶりを抑える。』と、説明してくれる。
   「いろいろあって、両親が入院していて。」と、患者さん。
『静脈がうっ血していて、頭のこめかみのところね。』と、サントに教えてくれる。こめかみの静脈の怒張が特徴的だと言います。

『舌出してみて』舌を見ると『舌先少し赤いかな』
ここで言霊診断をしました『じゃあ、言葉でいうでね。春が来ているので、ちょっと本格的な薬、半夏白朮天麻湯を飲んだ...気が下がるね。へその周りがあったかくなるよ、鼻通るし。これ飲んで見て』と、
その場で半夏白朮天麻湯を一袋飲んでもらう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして10分後にもう一度診察室に入ってもらう。
井上先生は患者さんを見るなり『ちょっとスッとしたね』
    「はい」
『顔の傾きが取れたね』飲む前は、顔が横に少し傾いていました。
『お腹見せてくれる』また腹診をしながら『お腹ちょっとスッとしたね』
     「はい」
『これ、だしとくでね』
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
そして今回は半夏白朮天麻湯を処方しました。
   
井上先生のコメント
・一瞬、サントは抑肝散加陳皮半夏の印象ももったのですが、そこで違いを聞くと『抑肝散だともっとガーッとくる感じ。肝がもっと高ぶっている感じ。』

・苓桂朮甘湯も半夏白朮天麻湯もめまいと頭痛に使うので、その違いは?と聞くと『苓桂朮甘湯証だと、真武湯をだしとるし、もっとのぼせないといかんでしょ。この方はのぼせないものね。前は苓桂朮甘湯を出しとったけど、春先になってきてこの人の本来の証が出てきたのかもしれん。両方とも水毒の薬。でも、これは黄柏が入っとるやろ、腎の熱取る。だから、余力があれば半夏白朮天麻湯にしてもいい。顔が青白くて、表情が厳しくて、こめかみに青筋があって、そして水毒があって頭痛とめまい。半夏白朮天麻湯はその硬い独特の顔が特徴的。』と、教えてくれました。
1月××日外来
40代女性
肩こり、ボーっとする、不安感、などで11月からかかっている方。
背が高く痩せている方。
顔がやや浅黒い感じがある。
声に力がない。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『いかがですか?』
   「めまいが時々あるんです、たまに、点滴打ったりしているんですけど。つかれてぐったっときたらめまいがする」
『休んでくれる』腹診のために横のなってもらう。
   「花粉症があるんで、花粉症の薬もいただきたいんですが」
『今出している薬も花粉症の薬になるんだよ』、前回は苓桂朮甘湯と真武湯を出している。
   「そうですか、かなりひどいんで」
『生活気をつけるんだよ、早く寝る、温かいもの食べる、果物とか取りすぎないで』と、井上先生
腹診をしながら『首の後ろ重いね』
   「重いです」
『内臓が下がっとるしね』また、腹診をしながら言う。

『半夏白朮天麻湯も考えないといけないかね。お顔がちょっときついからね。天麻が入る。肝の高ぶりを抑える。』と、説明してくれる。
   「いろいろあって、両親が入院していて。」と、患者さん。
『静脈がうっ血していて、頭のこめかみのところね。』と、サントに教えてくれる。こめかみの静脈の怒張が特徴的だと言います。

『舌出してみて』舌を見ると『舌先少し赤いかな』
ここで言霊診断をしました『じゃあ、言葉でいうでね。春が来ているので、ちょっと本格的な薬、半夏白朮天麻湯を飲んだ...気が下がるね。へその周りがあったかくなるよ、鼻通るし。これ飲んで見て』と、
その場で半夏白朮天麻湯を一袋飲んでもらう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして10分後にもう一度診察室に入ってもらう。
井上先生は患者さんを見るなり『ちょっとスッとしたね』
    「はい」
『顔の傾きが取れたね』飲む前は、顔が横に少し傾いていました。
『お腹見せてくれる』また腹診をしながら『お腹ちょっとスッとしたね』
     「はい」
『これ、だしとくでね』
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
そして今回は半夏白朮天麻湯を処方しました。
   
井上先生のコメント
・一瞬、サントは抑肝散加陳皮半夏の印象ももったのですが、そこで違いを聞くと『抑肝散だともっとガーッとくる感じ。肝がもっと高ぶっている感じ。』

・苓桂朮甘湯も半夏白朮天麻湯もめまいと頭痛に使うので、その違いは?と聞くと『苓桂朮甘湯証だと、真武湯をだしとるし、もっとのぼせないといかんでしょ。この方はのぼせないものね。前は苓桂朮甘湯を出しとったけど、春先になってきてこの人の本来の証が出てきたのかもしれん。両方とも水毒の薬。でも、これは黄柏が入っとるやろ、腎の熱取る。だから、余力があれば半夏白朮天麻湯にしてもいい。顔が青白くて、表情が厳しくて、こめかみに青筋があって、そして水毒があって頭痛とめまい。半夏白朮天麻湯はその硬い独特の顔が特徴的。』と、教えてくれました。



追記を閉じる▲

【2013/02/05 00:24】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0102.jpg1月××日外来

50代男性、新患
昨日から下痢と嘔吐があるので受診。
マスクをしていて、やせ気味の小柄な方。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『熱はありますか?』
   「熱はないと思ったんですが、ひょっとしたら有るかもしれないです。」
『なにか変ったもの食べた?』
   「夜は餃子とラーメンと、生ものは食べていません。朝起きて下痢っぽくてもどしました。」
『朝は何か食べた?』
   「水だけのんで、何も食べていないです。水みたいな下痢で」
『口が渇きますか?』
   「乾きます。」
『割と軽いみたいで、点滴しなくても大丈夫みたいですね』声に力があるので下痢をしている割には、体力はありそうです。

『ちょっとお休みください。』腹診のために横になってもらう。『お顔色がすこし悪いね。』マスクを外してもらうと、頬が少しこけていて、顔色が茶色っぽい。
   「小さい時からよく言われます、本人は意識しないんですが。すこし貧血気味もあります。」
『胃弱タイプね、どちっかというと胸に熱持っとるね』腹はすこし圧痛があって、胸に熱があるようだ。『口は乾いた感じありますか?舌出して。』
舌はやや茶色っぽい苔がある、湿熱がある。
『軽いから、このまま休んでいただければ、大部分はこのままよくなりますね』
   「はい」

『ここに熱持っています(胸の膻中のところ)、人参湯みたいな感じではないね』と、サントに言われます。
『のど少しいがいがしますか?』
   「それほどでないです。のどは声が枯れています、空咳が昔からあるんですが」

そこで、『じゃあ、麦門冬湯を飲みました...』と、言霊診断を始めました。『これでもいいんですよ、補気剤ですから』と説明してくれる。『麦門冬湯を飲んだと思って...、麦門冬湯、、、これ首肩が楽になってくるね。これで行くか、じゃあ、定番の五苓散を飲んだ...麦門冬湯のほうがすっとするね。背中が暖かくなってね。』
患者さんもうなづいている。

『よかったら、今から麦門冬湯を飲んでみて。』と、粉のまま舐めさせる。
しばらくすると『頭すっきりしてきたね、胃が温まってきたね、鼻も通ってきたね。気がね、通ってきたね。』
   5分ぐらいすると「お腹がすいてきました」と、患者さんが笑って言う。「疲れていたんですかね。夜遅くて朝早いし」
『コーヒーやめたほうがいいよ。漢方はのめるだけ飲んで、唾液で溶かして、1回で1袋飲まんでもいいよ。OK、すごく楽になったね。』気が十分に回りました。
  「はい、ありがとうございました。」
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
そして、麦門冬湯を1週間出されました。

井上先生のコメント

・『半夏が入っているから、嘔吐にいいのよね。急性胃腸炎には五苓散だけでないのよね。五苓散だともっと顔がほてっていないといけないのに、火照っていないでしょ。』

・患者さんは、昔から顔色が悪いと言われていて、空咳があって、気虚がベースにあるような方でした。今回は、嘔吐下痢を目標にするのではなく、奥にある証を目標としました。標治よりも本治をとったということです。黄帝内経素問に「急なれば即ちその標を治し、緩なれば即ちその本を治す」と言う言葉がありますが、患者さんの症状はどちらかというと「緩」でした。このあたりの、見極めは難しい。
やっぱり、井上先生はすごいと思いました。言霊診断の威力です。

・麦門冬湯は『のどがイガイガする人の、咳止めで、胃の薬でもあるのよね。だから胃腸風邪にも効くことがある』

・一般的には、『四君子湯証のひとで肺に燥熱があればこれが効く。空咳が続き顔がのぼせて(咳で顔が紅潮する)上胸部に燥熱がある人で、心下がつかえて、下痢や食欲不振があるとき。』に使うと言っておられます。


【2013/02/02 22:15】 | 症例
トラックバック(0) |
IMG_0099.jpg 1月××日外来

40代男性
ビジネスマンタイプの方
でも、顔が少しくすんでいて
元気がないのか、声が小さい。
痔などでかかっている。
☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆
『どうですか?』
   「1週間前から便が柔らかくなって大丈夫になってきました」
『生活はどうですか?』
   「11時ぐらいには寝るようにしています。食べ物もよく噛むようにしています」
『それはよかったですね、花粉症あります?』
   「あります。でもまだ出ていないです」
   
『しゃべられると口に唾液がたまるので、どちらかというと胃弱タイプやね。そこを気を付けてくださると、うまくいくと思うよ』
『休んでくださる』と、腹診のために横になってもらう。
  「いつも2月の終わりころから体の調子がよくなんです」
『春になってきたので、益気しないといけないね、唇がカサカサしているし。熱持っとるよね』と、サントに教えてくれる『だから、この前は、大建中湯と小建中湯で行ったけど、たとえば清暑益気湯とか補中益気湯とかで、少し熱をとって朝鮮ニンジンが要る...』

舌診をすると粘っている『口乾かれる?』
   「このごろすごく乾くんです」
『そろそろ季節が変わってきたので、こういう方に清暑益気湯をだすんですよ。』と、教えてくれる。
腹は小建中湯のようにやや虚だが、口が乾いて熱を持っている、さらに唾液がたまっていて胃腸が弱い。

そこで井上先生はいつもの言霊診断をしました『2つ言うでおしえてね、じゃあ、補中益気湯を飲みました...じゃあ、清暑益気湯を飲みました...このほうが気の流れ良くなるよね。補中益気湯と親戚のお薬。こんな感じで出すといいよ』と、詳しく教えてくれる。
患者さんには『清暑益気湯という口の熱取る薬をだしとくでね。のど乾いても水分控えめにして、生活気を付けてね』と、言われます。
   「はいわかりました」と、患者さん。
*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*::*
そして今回は清暑益気湯を処方されました。

井上先生のコメント
・この患者さんに清暑益気湯を出したわけは『朝鮮ニンジンがはいった補気剤で渇きをとる(身熱をとる)薬というと、補中益気湯とか清暑益気湯とか。春先だしね』と、言われました。

・『清暑益気湯、最近すごく出している。当帰、黄耆が入って補血補気して、麦門冬が入って滋陰して、黄柏で熱をとる。胃腸虚弱タイプの滋陰剤、清熱剤になる。』

・どうして春に清暑益気湯証の人が多くなるのですか?と聞くと『日光の光が強くなってきて熱持つんやね。春は気が上がって弦脈が出る。柴胡(補中益気湯)で行く人もあるけど、清暑益気湯が合う人もいる。』
補中益気湯と清暑益気湯はどちらも夏バテの薬と思っていましたが、どうも春先にも使うことが多いようです。実際、サントの外来でもPTMで清暑益気湯が合う人が増えています。

【2013/02/01 23:08】 | 症例
トラックバック(0) |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。