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日本古来の漢方や中医学とも違う、新しい漢方ともいうべき「井上流漢方」について説明します。患者さんの気の流れをみて気を整えることを第一義とする「井上流漢方」を名古屋の井上先生の外来から報告します。
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065.jpg065. 帰脾湯

【生薬構成】
人参3、白朮3、茯苓3、酸棗仁3、竜眼肉3、黄耆3、当帰2、遠志2、甘草1、木香1、大棗2、生姜1 (g)
*四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)が基本
*酸棗仁、遠志、竜眼肉には安神作用があり、木香には理気作用があります。

【原典】
宋の時代の《済生方》が原典です。少し引用すると『脾経失血、寝ること少なく、発熱盗汗、或は思慮して脾を破り、血を摂すること能わず。…』とあります。

【古典】
浅田宗伯の《勿誤薬室方函口訣》では、
『明医雑著に拠て、遠志、当帰を加へ用て、健忘の外思慮過度して心脾二臓を傷り血を摂することならず、或は吐血衂血、或は下血等の症を治するなり。此方に柴胡、山梔を加へたるは内科摘要の方なり。前症に虚熱を挟み或は肝火を帯る者に用ゆ。大凡補剤を用るときは小便通利少なき者多し。此方も補剤にして且利水の品を伍せされども方中の木香気を下し胸を開く故、よく小便をして通利せしむ。主治に大便不調を云は能小便を利するを以大便自止の理なり。』とあります。
*内科摘要の方:加味帰脾湯のこと(帰脾湯+柴胡、山梔子)

【先人】
・心と脾の虚による諸病を治す処方。全身倦怠、胃疲労感、胃弱/貧血様顔貌/手足のひえ、動悸/不眠、健忘 《高山宏世:漢方常用処方解説》

・養血安神作用(竜眼肉、遠志、酸棗仁、当帰)と理気作用(木香、生姜、大棗)が本方独自の効果をもたらす可能性がある 《秋葉哲生:活用自在の処方解説》

・心と脾の虚で貧血、心悸亢進、健忘、不眠症、諸出血等を目標とする。 《矢数道明:漢方処方解説》


【井上流】
・脾胃虚弱の人が思慮して、動悸、不眠、食欲不振を訴える時に用いる薬で、酸棗仁、遠志、竜眼肉で心虚を補い、木香で気を巡らし神経疲労を治す効果のある処方構成となっている。 《アレルギー疾患の漢方治療①》

・元来胃腸の弱い虚弱体質のものが思慮過度の結果、動悸、不眠、食欲不振、種々の出血を起こし、貧血を来したり、健忘症となったりする時に用いる。

・酸棗仁、遠志、竜眼肉で心虚を補い、木香で気を巡らす処方構成になっている。 《自律神経失調症の漢方治療①》

・四君子湯+[木香・酸棗仁・遠志・龍眼肉・黄耆・当帰]心気虚タイプの人の神経痛などやリウマチに使用 《整形外科の漢方治療》

【Dr.サントのコメント】
・帰脾湯は最近使うことが多くなっています。
不眠があって人参養栄湯か甘麥大棗湯かとおもっても、帰脾湯のことがあります。不眠で単純に酸棗仁湯が合う人は少ない。抑肝散加陳皮半夏も少ない。

・サントのところには頭痛の患者さんが多く来るのですが、子供の頭痛でも使うことが割とあります。単純な頭痛でなくて、頭痛があって学校に行けないようなときに合うことがあります。

・鍼をすると感じるのですが、帰脾湯が合う人は「胸のあたりにしこりがあって支えている」人が多い。半夏厚朴湯のような梅核気ではなく、麦門冬湯のようなイガイガでもなく、甘麥大棗湯のような胸の冷えでもない。何か胸に「しこり」がある感じがします。
これを浅田宗伯は上の《勿誤薬室方函口訣》で『木香気を下し胸を開く』と言っているのでしょう。

・「食後にどうしようもなく眠くなる」ときに効きます。

・現代では出血で使うことは少ないです。ご老人の皮下出血で使うことがあります。

・認知症に効くと言われていますが、あまりパッとしない印象です。

【症例にリンク】
症例1. 2. 3.


【2013/07/18 22:20】 | 漢方解説
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