日本古来の漢方や中医学とも違う、新しい漢方ともいうべき「井上流漢方」について説明します。患者さんの気の流れをみて気を整えることを第一義とする「井上流漢方」を名古屋の井上先生の外来から報告します。
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137.jpg137. 加味帰脾湯

【生薬構成】
人参3、白朮(蒼朮)朮3、茯苓3、酸棗仁3、竜眼肉3、黄耆3、当帰2、遠志2、柴胡3、山梔子2、甘草1、木香1、大棗2、生姜1(g) 
*帰脾湯に柴胡と山梔子が加わる構成となっている。

【原典】
《済生全書》の『巻六、健忘門』

【古典】
浅田宗伯の《勿誤薬室方函口訣》の『帰脾湯』の条に『此方(帰脾湯)に柴胡・山梔を加へたるは、内科摘要の方なり。前症に虚熱を挟み、或いは肝火を帯ぶる者に用ふ。』とあります。
*柴胡と山梔子が加わることにより、虚熱と肝火を制します。

【先人】
・帰脾湯の証にやや熱状の加わったもの。  《矢数道明:漢方処方解説》

・精神症状や肩こり、身体上部の熱間など疏肝清熱作用を期待したもの。 《秋葉哲生:活用自在の処方解説》

・全身倦怠感、易労、貧血/不眠、イライラ、健忘/のぼせ、ほてり、胸苦しさ 《高山宏世:漢方常用処方解説》

【井上流】
・加味帰脾湯は、陰性の神経不安定で寝られない、いらいらする、いわゆる血の道症状のある人に対して気を下げ神経を安定させるように配慮されているので、女性の諸疾患に使用の機会が多い。

・元来胃腸虚弱体質の者、あるいは大病後に衰弱している時などに過度に精神を労してその結果、不眠、健忘、貧血、心気亢進あるいは出血などの症状のあるもので胸脇苦満があり、熱状のあるもの「ほてり、のぼせなど」に用いる
血の道の代表処方である加味逍遥散より一層、虚状を呈し、脾胃虚弱、心気虚となっているのに適応、今日では加味逍遥散より使用の機会が多い

・一昔前は「女性と言えば加味逍遙散」と言うほどよく使用され、効果も高かったのですが、現代の女性は虚弱になっている人が多く、そのため補気効果の強い加味帰脾湯が良く効くことが多いようです。「今日の女性には加味帰脾湯」と言えるほど血の道症状ばかりでなく、諸疾患にも良く使用し、喜ばれることが多く、嬉しい限りです。

・加味帰脾湯は加味逍遙散と同じ柴胡剤ですが、脾胃虚弱、心気虚に陥った人に対して用いられる処方です。現代においては女性に対する代表処方である加味逍遙散より現実には使用の機会が非常に多く、更に加味帰脾湯単独ではなく、甘麦大棗湯を追加して投与し、心気虚を一層良くする工夫をすると効果があがることが多いのです。 《以上;柴胡剤の活用法》

・加味帰脾湯は、陰性の神経不安定で寝られない、いらいらする、いわゆる血の道症状のあるひとに対して気を下げ神経を安定させるように配慮されている。臨床応用=血の道 不眠 体調不良 アトピー性皮膚炎 喘息 気管支炎 高血圧 膀胱炎帯下 ベーチェット病 血小板減少性紫斑病など
《不眠に対する漢方治療》

・痩せ気味で眼がとんがり、顔がくすみ、ぐちゅぐちゅと訴えの多い人で、血の道「更年期障害」、自律神経失調、不眠、肩こり、にきび、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹、高血圧、喘息、腰痛などに用います。気虚「胃腸虚弱」、胸脇苦満、のぼせ症状を目標に用います。
《女性の漢方治療》

・心虚に陥っている気管支炎、喘息にも使用。
《現代のアレルギー疾患に対する漢方治療補足3.》

・胃腸虚弱タイプの女性に用いられる処方であるが、心虚症状(ぐっすり寝れない、夢ばかり見る)、柴胡の証(胸脇苦満、口苦など)があり、下腹部の於血を示唆する所見がはっきりしない
《女性の漢方治療の基礎》

【Dr.サントのコメント】
・井上先生が書かれているように加味逍遙散との鑑別が必要です。
サントの経験でも、加味帰脾湯ががあっている方のほうが多いようです。純粋な加味逍遙散タイプは少ないです。
教科書的には「血の道」には加味逍遙散が良く上がりますが、加味帰脾湯がもっと注目されるべきです。

・井上先生によると、加味逍遙散の虚弱タイプは加味帰脾湯で、加味逍遙散の乾燥タイプは滋陰至宝湯です。だから、この3つが一つのグループとしてイメージされます。

・サントの印象ですが「帰脾湯」タイプが増えているので、今後、「加味帰脾湯」タイプももっと増えてくると思っています。
時代がそんな時代になってきているのでしょうか。

・加味逍遙散は時々男性にも使いますが、この方剤は「血の道」というように、ほとんど女性に使うように思います。帰脾湯も男性より女性に使うことが多いと思います。

【症例にリンク】
症例1. 2. 3.



【2013/07/18 22:32】 | 漢方解説
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