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日本古来の漢方や中医学とも違う、新しい漢方ともいうべき「井上流漢方」について説明します。患者さんの気の流れをみて気を整えることを第一義とする「井上流漢方」を名古屋の井上先生の外来から報告します。
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020.jpg020. 防已黄耆湯

【生薬構成】
防已5、黄耆5、蒼朮3(白朮も可)、大棗3、甘草1.5、生姜1 (g)
*防已で利水消腫して、黄耆で表を固め止汗する。朮、大棗、甘草、生姜で脾胃の機能を高める。

【原典】
《金匱要略》の『痓濕暍病脉證第二』と『水氣病脉證并治第十四』に出ています。

【古典】
浅田宗伯の《勿誤薬室方函口訣》には
『此方は風湿表虚の者を治す故、自汗久しく止まず、皮表常に湿気ある者に用ひて効あり。蓋し此方と麻黄杏仁薏苡甘草湯と虚実の分あり。かの湯は脉浮、汗出でず、悪風の者に用ひて汗を発す。これは脈浮にして汗出で、悪風の者に用ひて解肌して癒ゆ。即ち傷寒中風に麻黄、桂枝の分あるが如し。身重は湿邪なり、脉浮、汗出づるは表虚する故なり。故に麻黄を以つて発表せず、防已を用ひてこれを駆るなり。金匱に治水治痰の諸方、防已を用ふるもの、気、上に運びて水能く下に就くに取るなり。服後、虫の行く如く及び腰以下氷の如し云々は、皆湿気下行の徴と知るべし。』とあります。
*風湿:風と湿の邪の集まったもの。 表虚:体表の機能の衰え。 自汗:汗が自然に出ること。 解肌:肌の邪を和解する。 

【先人】
・体表に水毒があり、しかも表が虚し、下肢の気血めぐらざるものに用いる。  《矢数道明:漢方処方解説》

・気虚の風水&気虚の風湿  《秋葉哲生:活用自在の処方解説》

・ブヨブヨした肥満(風湿身重)/多汗/下肢浮腫傾向  《高山宏世:漢方常用処方解説》

【井上流】
・色白で、筋肉軟らかく、水太りの体質で、疲れやすく、汗が多く、小便不利を訴える、主として女性の膝関節症を始め諸疾患によく用いる。中年以降の有閑夫人で、太って疲れやすく、身体が重いという人に用いることが多い。脉は多くは浮弱である。

・私見:処方構成上、利水剤であるが補気剤を兼ねる。
肺気虚に対する治療薬であり、膝関節症ばかりでなく、風邪薬、咳止め、皮膚疾患の薬、自律神経失調症の薬など多岐にわたる疾患に応用できる。排尿回数が少なく、排尿時の勢いがないのを目標に加えている。防已黄耆湯単独ばかりでなく、附子を加えたり、真武湯や桂枝加朮附湯などと合方したりして用いる機会が多い

・応用:体表に水毒があり、しかも表が虚し、下肢の氣血めぐらざるものに用いる。
感冒後皮膚のしまりが悪く、熱が去らず、悪風があって自汗が止まらず、頭痛、身体疼痛し、小便不利もの、腎炎 ネフローゼ 妊娠腎 陰嚢水腫 癰 筋炎 下肢骨カリエス 膝や足の関節炎、潰瘍、浮腫 肥満症で筋肉軟らかく、水太りのもの 皮膚炎 蕁麻疹 多汗症 わきが ひえ症 気欝 月経不順 変形性膝関節炎
《以上;利水剤について②防已黄耆湯を中心に》

・発汗過多で身体をだるがるひとの膝痛などに用いる。
《整形外科の漢方治療》

・ 水太りの中年女性には防已黄耆湯とのキャッチフレーズの通り、水太りには防已黄耆湯が良く効きます。しかし、現代においては隠れた裏寒が併存していることが極めて多く、真武湯や附子末を加えて投与した方が上手くいきます。防已黄耆湯は暑がりで汗かきで疲れやすく、排尿時の勢いが弱いのに加えて、浮腫んで、排尿回数が少ないなどの水毒症状があるのを目標にして用います。
《生活習慣病の漢方治療②》

・いわゆる水太りの代表処方。ことに女性の生活習慣病に使用する機会が多い。 汗かきで疲れやすく、排尿時の勢いが弱い人の肥満、高脂血症 高血圧など生活習慣病に用いる。
《生活習慣病の漢方治療①》

・膝関節症や蕁麻疹など諸疾患に用いるばかりでなく、自律神経失調症も良くなることがある。
《自律神経失調症の漢方治療①》

・汗かきで疲れやすいひとで尿の勢いがない、排尿しようとしてもスーと尿が出ない、残尿感があると訴える人に良く用います。
《泌尿器領域の漢方治療》

【Dr.サントのコメント】
・典型的には浮腫んだ人の膝痛の薬ですが、さらに突っ込んで言うと肺虚がある人の薬です。

・汗をかいて皮膚の締まりがない時は肺虚があります、その時には防已黄耆湯が効くことがあります。特にむくみがなくても効いてくれます。膝痛だけでなくいろいろな症状をとってくれます。腰痛、めまい、心不全、etc. 多彩な症状に効きます。

・年を取ると肺虚が出てくるので、老人に使う機会が多いと井上先生は言っていました。

・汗以外では「尿の勢いが弱いこと」が目標になると井上先生は言っています。

・防已黄耆湯があっている人は、大体ずっとこの薬を処方してくれと言ってきます。水気がある太った女性が多いです。

・夏になると出す機会が一気に増えます。汗が多くなるからでしょう。

【症例にリンク】
症例1. 2. 3. 


【2013/07/29 23:42】 | 漢方解説
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