日本古来の漢方や中医学とも違う、新しい漢方ともいうべき「井上流漢方」について説明します。患者さんの気の流れをみて気を整えることを第一義とする「井上流漢方」を名古屋の井上先生の外来から報告します。
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IMG_0102.jpg1月××日外来

50代男性、新患
昨日から下痢と嘔吐があるので受診。
マスクをしていて、やせ気味の小柄な方。
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『熱はありますか?』
   「熱はないと思ったんですが、ひょっとしたら有るかもしれないです。」
『なにか変ったもの食べた?』
   「夜は餃子とラーメンと、生ものは食べていません。朝起きて下痢っぽくてもどしました。」
『朝は何か食べた?』
   「水だけのんで、何も食べていないです。水みたいな下痢で」
『口が渇きますか?』
   「乾きます。」
『割と軽いみたいで、点滴しなくても大丈夫みたいですね』声に力があるので下痢をしている割には、体力はありそうです。

『ちょっとお休みください。』腹診のために横になってもらう。『お顔色がすこし悪いね。』マスクを外してもらうと、頬が少しこけていて、顔色が茶色っぽい。
   「小さい時からよく言われます、本人は意識しないんですが。すこし貧血気味もあります。」
『胃弱タイプね、どちっかというと胸に熱持っとるね』腹はすこし圧痛があって、胸に熱があるようだ。『口は乾いた感じありますか?舌出して。』
舌はやや茶色っぽい苔がある、湿熱がある。
『軽いから、このまま休んでいただければ、大部分はこのままよくなりますね』
   「はい」

『ここに熱持っています(胸の膻中のところ)、人参湯みたいな感じではないね』と、サントに言われます。
『のど少しいがいがしますか?』
   「それほどでないです。のどは声が枯れています、空咳が昔からあるんですが」

そこで、『じゃあ、麦門冬湯を飲みました...』と、言霊診断を始めました。『これでもいいんですよ、補気剤ですから』と説明してくれる。『麦門冬湯を飲んだと思って...、麦門冬湯、、、これ首肩が楽になってくるね。これで行くか、じゃあ、定番の五苓散を飲んだ...麦門冬湯のほうがすっとするね。背中が暖かくなってね。』
患者さんもうなづいている。

『よかったら、今から麦門冬湯を飲んでみて。』と、粉のまま舐めさせる。
しばらくすると『頭すっきりしてきたね、胃が温まってきたね、鼻も通ってきたね。気がね、通ってきたね。』
   5分ぐらいすると「お腹がすいてきました」と、患者さんが笑って言う。「疲れていたんですかね。夜遅くて朝早いし」
『コーヒーやめたほうがいいよ。漢方はのめるだけ飲んで、唾液で溶かして、1回で1袋飲まんでもいいよ。OK、すごく楽になったね。』気が十分に回りました。
  「はい、ありがとうございました。」
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そして、麦門冬湯を1週間出されました。

井上先生のコメント

・『半夏が入っているから、嘔吐にいいのよね。急性胃腸炎には五苓散だけでないのよね。五苓散だともっと顔がほてっていないといけないのに、火照っていないでしょ。』

・患者さんは、昔から顔色が悪いと言われていて、空咳があって、気虚がベースにあるような方でした。今回は、嘔吐下痢を目標にするのではなく、奥にある証を目標としました。標治よりも本治をとったということです。黄帝内経素問に「急なれば即ちその標を治し、緩なれば即ちその本を治す」と言う言葉がありますが、患者さんの症状はどちらかというと「緩」でした。このあたりの、見極めは難しい。
やっぱり、井上先生はすごいと思いました。言霊診断の威力です。

・麦門冬湯は『のどがイガイガする人の、咳止めで、胃の薬でもあるのよね。だから胃腸風邪にも効くことがある』

・一般的には、『四君子湯証のひとで肺に燥熱があればこれが効く。空咳が続き顔がのぼせて(咳で顔が紅潮する)上胸部に燥熱がある人で、心下がつかえて、下痢や食欲不振があるとき。』に使うと言っておられます。


【2013/02/02 22:15】 | 症例
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