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日本古来の漢方や中医学とも違う、新しい漢方ともいうべき「井上流漢方」について説明します。患者さんの気の流れをみて気を整えることを第一義とする「井上流漢方」を名古屋の井上先生の外来から報告します。
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IMG_0129.jpg005. 安中散
【生薬構成】
桂皮4、延胡索3、牡蛎3、茴香1.5、甘草1、縮砂1、良姜0.5(g)
*延胡索は経を通じ痛みを除く、牡蠣は酸を中和する、茴香は健胃鎮痛作用、
縮砂・良姜は芳香性健胃薬

【原典】
北宋時代の《太平恵民和剤局方》

【古典】
・浅田宗伯の《勿誤薬室方凾口訣》には
『此方は世上には澼嚢の主薬とすれども、吐水甚だしき者には効なし。痛み甚だしき者を主とす。反胃に用ふるにも腹痛を目的とすべし。また婦人の血気刺痛には、澼嚢より却つて効あり。』とあります。
*澼嚢(へきのう):胃拡張に相当する病態、*反胃(ほんい):嘔吐を起こす胃病、*血気刺痛:瘀血による刺すような痛み。
これから生理痛に有効なことがわかります。

【先人】
・やや虚状を帯びて、慢性に経過した心窩部の痙攣性疼痛に用いる。《矢数道明:漢方処方解説》

・胃弱、冷え症/心下痞と圧痛/胃痛(空腹時)/甘いものを好む 《高山宏世:漢方常用処方解説》

・胃痛だろうが、生理痛だろうが、腹痛一般に効くことである。単なる胃の薬には留まらない。《秋葉哲夫:活用自在の処方解説》

・冷え症で胃アトニータイプの者の次の諸疾患、すなわち①胃十二指腸潰瘍、②慢性胃炎・胃酸過多症。いずれも心窩部の持続性疼痛を目標に用いられる。《桑木崇秀:漢方診療ハンドブック》

【井上流漢方】
・芳香性健胃薬ですが構成生薬に延胡索(エンゴサク)という軽い温性駆お血薬が配されています。一般的にはやせ形で胃腸虚弱タイプなのに甘い物などを好んで食べ過ぎ、胸やけ、胃痛を訴える人の生理痛にも良く用います。《攻撃剤の使い方:清熱瀉下剤を中心に》

・今日の日本人は想像を超えて虚弱化していますので、お血に因る生理痛に対して桂枝茯苓丸、通導散、温経湯などを投与してもなかなか良くならなくても、脾胃を養う効果の高い、軽い温性駆お血剤である安中散などを投与すると生理痛が良くなることが多いのです。《私の漢方のきかせ方(5)》

・現代人のための桂枝茯苓丸と言える。

・顔面の胃経のところにでるニキビには安中散が効く。

・皮膚がガサガサで、瘀血があって、甘いものが好きな女性が安中散の適応です。
動悸があり寝れない人に安中散を使われたこともあります。牡蠣があるので安定するといわれました。

【Dr.サントのコメント】
・安中散の「中」は「中焦」のことで腹部を指します。だから腹を安んじる薬と言えます。これから、胃、腸、子宮、卵巣、さらには骨盤内臓器全般に働くと思われます。

・現代では胃炎、胃潰瘍に対してはPPIがファーストチョイスとして使われますので、安中散の出番はなさそうです。それよりも、井上先生が「現代人のための桂枝茯苓丸」というように、駆瘀血剤としての役割がもっと注目されてもいいと思います。

・サントの経験ですが、統合失調症のかたで安中散で精神症状が安定した患者さんがいます。腹部に瘀血があり、桂枝茯苓丸よりも安中散の方がPTMでよい反応が出たので安中散を処方しました。現在も通院されています。

【症例にリンク】
症例1. 2. 3.



【2013/02/18 20:57】 | 漢方解説
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