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日本古来の漢方や中医学とも違う、新しい漢方ともいうべき「井上流漢方」について説明します。患者さんの気の流れをみて気を整えることを第一義とする「井上流漢方」を名古屋の井上先生の外来から報告します。
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136.jpg136. 清暑益気湯

【生薬構成】
人参3.5、白朮(蒼朮)3.5、麦門冬3.5、当帰3、黄耆3、陳皮3、五味子1、黄柏1、甘草1 (g)
【原典】
明の時代の長三錫による《医学六要》。
*四君子湯去茯苓+生脈散が入る。補気して津液を補い、黄柏で虚熱を清する。
全体として補中益気湯の変方となっています。
*上のように9味からなりますが、金の李東垣の《内外傷弁》には15味の「清暑益気湯」が出ています。「内外傷弁-清暑益気湯」から6味を省いて簡素化したものといえます。その適応・効果はほぼ同じですが、下の浅田宗伯の《勿誤薬室方函口訣》にあるように「医学六要-清暑益気湯」は薬味が少ないだけ、シャープに効きます。エキス剤は「医学六要-清暑益気湯」の構成なので、以下、断らない限り「清暑益気湯」と言えば「医学六要-清暑益気湯」を指します。

【古典】
・浅田宗伯の《勿誤薬室方函口訣》には『内外傷弁-清暑益気湯』について、
『長夏湿熱大いに勝んに、人これに感じ、四肢困倦、身熱心煩、小便少なく、大便溏、或は渇し或は渇せず、飲食を思わず、自汗するを治す。此方は注夏病の主剤なり。虚弱の人、夏になれば羸痩(るいそう)して倦怠し、或は泄利、或は乏喘し、四肢煩熱する者を治す。此方、東垣の創意にて多味に過ぎたり。即効を取るには近製の方を用ゆべし。老人などの持薬には此方を宜しとす。餘は近製方の條下に具す。』とあります。
*注夏病:夏バテ、 近製の方:医学六要の清暑益気湯のこと、
・同様に『医学六要-清暑益気湯』について、
『近製の主治は《内外傷弁》の方と同じ。此方は注夏病を主とす。《医学入門》に、春末夏初に遇ふ毎に、頭疼脚軟、食少く体熱す、注夏病と名づく、これを治す方は、補中益気湯去升柴加黃柏芍薬五味子麦門冬、即ち此方一類の薬なり。また張三錫《
新定方》には麦門、五味なく、升麻姜棗あり。いずれもその宜しきに従って選用すべし。また《弁惑論》の升陽順気湯云ふ、飲食節せず、労役に傷られ、腹脇満悶、短気、春に遇へば則ち口淡にして味なく、夏に遇へば熱すと雖も、なほ悪寒あり、飢するに則ち常に飽くが如く、冷物を食するを喜ばず云々と、これまた注夏病の主方なり。然れども注夏病は大抵此方を服せしめ、《萬葉集》によつて鰻鱺を餌食とし、閨房を遠のくれば、秋冬に至つて復するものなり。《金匱》云ふ、春夏劇しく、秋冬いゆと。またこの病を謂ふに似たり。』とあります。
*近製:医学六要の清暑益気湯のこと、 萬葉集の鰻鱺:大伴家持の歌にあります、 
【先人】
・暑気あたり、厚さによる食欲不振、下痢、全身倦怠、夏やせ。《秋葉哲生:活用自在の処方解説》
・夏バテによる食事不振/口渇・多汗・尿量減少・全身倦怠/心煩 《高山宏世:漢方常用処方解説》

【井上流】
・補中益気湯の変方であり夏バテの専用処方とされる。人参・白朮・甘草・陳皮・当帰・五味子・麦門冬・黄耆・黄柏(陽明の熱を瀉す生薬)が配されている足三里の圧痛、両臍傍の天枢辺りの圧痛などを目標に用いる。《夏バテの一般的漢方治療》

・清暑益気湯も補中益気湯も共に夏ばてに用いられる。両者とも脾胃剤であるが、清暑益気湯証の方が口渇、手のほてり、胸が熱<胸苦しい、尿の色が濃いなど、身熱心煩症状が著しい。《滋陰剤の臨床応用》

・麦門冬湯と同じように麦門冬が配された補気剤。当帰・黄耆が加わり、補気・補血しながら黄柏で五臓にこもった熱をとる働きがある処方構成となっている。身体がだるく、手がほてり、尿の色が濃い人の夏やせ、夏バテに止まらず、気管支炎、慢性肝炎、糖尿病など広く諸疾患に用いる。《老人の漢方治療①》

・広い意味での温病処方で、現代において適合する人が多い。夏バテに限らず、四季を問わず、糖尿病など生活習慣病にも使用の機会がある。脾胃虚弱、身熱、心煩、自汗、四肢困倦を目標に用いる。
《現代のいわゆる生活習慣病に対する漢方治療<前編>》

・今年(平成25年)の2月ごろから特に多く処方しています。

【Dr.サントのコメント】
・井上先生の仰るように、最近多く処方しています。喉の渇く人が多いので麦門冬の入った処方をPTM(PhotoTouchMethod)で選んでいくと清暑益気湯に適合する人が多く出てきています。
井上流漢では半夏白朮天麻湯とともに今の旬(H25.3月頃)の漢方となっています。

・サントの症例ですが、中学生の男の子で眠くて仕方ないといってこられました。学校から帰ると怠くてすぐ寝るし、また起きて22時ごろから7時ごろまで寝るというのです。立ちくらみ、乗り物酔いもあるので小児科で苓桂朮甘湯が処方されていましたがよくなりませんでした。当院では、喉の渇きがあり、ノボセがあり、胃腸が弱くて過敏性もあるので、清暑益気湯と甘麦大棗湯を処方しました。それで眠気は改善しました。次に、胸脇苦満が出てきたので補中益気湯に変方して現在みているところです。

【症例にリンク】
症例1. 2. 


【2013/03/10 18:45】 | 漢方解説
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